西の有力ファミレスは、なぜ赤坂を選んだか

商機はロードサイドのみにあらず

店内も、一般的に想像するファミレスとは少し違った雰囲気だ。席と席の間には、1人客でも気軽に立ち寄れるように、プライベートスペースを保つためか敷居が高めになっており、内装もモダンな雰囲気がある。

ジョイフルは郊外型のロードサイド店でファミリー層を得意とするものの、都心攻略に当たってはあえて戦略を変えてきたようだ。「関東エリアを中心に年間30〜35店舗の新規出店を計画する中で、赤坂店はそのフラッグシップと位置付けています。まだ認知度の低い東日本地区のお客様やお取引先をはじめ、関係者の方々にジョイフルを知って頂くためのショールーム的な存在になればと期待しています」。ジョイフル広報担当の増本彰氏は言う。

すかいらーくも駅前・商業施設への出店を強化

ジョイフルに限らず、これまで駐車場付きのロードサイド型を軸としてきたファミレスチェーンの出店戦略には変化が見られる。外食大手のすかいらーくも4月下旬、三井不動産商業マネジメント株式会社が運営する「ららぽーとTOKYO-BAY」(千葉県船橋市)に、「和ごはんとカフェ chawan(ちゃわん)」と呼ぶ新しい飲食店をオープンした。

商業施設に集まる20〜40代女性をコアターゲットとし、メニューも栄養バランスや食材にこだわったものを提供する。創業以来、郊外のロードサイドを中心に出店してきたすかいらーくの、駅前や商業施設向けの新業態だ。現在、すかいらーくグループが駅前などの繁華街に展開している店は全体の約17%、ショッピングセンターや駅ビルなどの商業施設内の店舗は約6%だが、今後は新たな立地として、駅前や商業施設にも戦略的に出店を進めるようだ。

これまで、ファミレスが担ってきた、家族との団らんや、知人・友人と長時間過ごすなどのニーズは、コンビニやカフェチェーンなどに浸食されてきている。居酒屋がコンビニや中食を競合とするようになったのと同じような現象である。

ファミレスにしてみれば、これまでの殻を破って都心や駅前、商業施設などへの出店を強化していかなければならない局面にある。一方で、ファミレスの気軽さや安さ、また知名度は、このマーケットで戦う上で競合と勝負できる価値を打ち出せる。たとえば、国内1000店舗を突破したサイゼリヤは若者の飲み会需要や、ちょい飲み需要を取り込んでいる。

一方、ファストフード業界も黙ってはいない。牛丼大手「吉野家」はここへ来て、お酒も飲める業態を強化している。ファミレス、居酒屋、ファストフード、コンビニ――。ジョイフルやすかいらーくが打ち出した新戦略は、これらが業態を越えて「胃袋を奪い合う」異種格闘技戦に突入していることの証左でもある。

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