「自動車のハイテク化→修理代が激高」という問題 軽い追突事故だけで驚きの請求書
最近の車にはドライバーや同乗者を保護し、甘やかすセンサーやテクノロジーが満載である。ただ、これらの機能は一方で、事故に遭ったときの修理費を引き上げてもいる。
保険会社や自動車修理業者にデータやソフトウェアを提供している企業ミッチェルによると、破損した車を新品同様に直すのにかかる平均的な修理費は2018年以降36%上昇。今年末までには5000ドル(約70万円)を突破する可能性がある。修理費のこうした大幅な上昇が主因となって、保険料も高騰。保険料は5月までの12カ月間で17%も上昇した。
急増する電動モデルを含む新型のSUVやピックアップトラックは非常に複雑化・高級化しており、一見簡単そうな修理にもかなりのお金がかかることがあると車の専門家たちは言う。修理費の多くは保険会社が負担しなければならないことが多く、それが保険料の値上げにつながっている。
軽く当たっただけでセンサーごと全交換
例えば、歩行者や同乗者を保護するため衝突時につぶれたり変形したりするように設計された素材には、修理が不可能なものもある。バンパーに埋め込まれた安全センサーは低速でぶつかってへこんだだけでも正常に作動しなくなる可能性があるため、バンパー全体を交換しなければならなくなることが多い。損傷がなさそうに見える他のシステムについても、検査や再調整が必要になる。
「現代のデジタルアーキテクチャは非常に高度化しているため、実際に(事故の)影響を受けた範囲を超えてシステムに乱れが生じる」。ミッチェルで保険請求関連業務の責任者を務めるライアン・マンデルは、「車を損傷前の状態に戻すことがこんなに難しかったことはかつてなかったし、これからも難しくなる一方だろう」と話す。