「自動車のハイテク化→修理代が激高」という問題 軽い追突事故だけで驚きの請求書

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業界の専門家たちがとくに着目しているのが、電気自動車(EV)や電気トラックの修理費だ。これらの車はガソリン車とは造りも部品も異なる。加えて、多くの整備士はこうしたタイプの車を修理する訓練を受けていない。ここ最近、EVや電気トラックの桁外れの修理費に関するニュースやストーリーがソーシャルメディアで共有され、自動車愛好家たちの目を引きつけている。

クリス・アプフェルシュタットと彼のピックアップトラック、リビアン「R1T」のケースはその1つだ。アプフェルシュタットは2月、オハイオ州コロンバスで信号待ちしていたときにレクサスに後ろから追突された。後部座席には幼い息子が乗っていた。

当初、損傷は比較的軽微と判断され、相手方の保険会社が提示した金額は1600ドル(約22万円)だった。ところが、オハイオ州に3つしかないリビアンの認定修理業者の1つでバンパーを修理するのにかかった実際の費用は4万2000ドル(約580万円)だった。新車価格のおよそ半分の金額だ。

照明会社を経営するアプフェルシュタットは、「高いと予想してはいたが、それでも衝撃的な数字だった」と語った。

修理費がここまで高くなった主な原因は、トラックのリアからフロントルーフピラーまで滑らかに伸びるパネルが事故によって破損したことだ。このパネルの修理と再塗装のために、ヘッドライナーと呼ばれる室内の天井材やフロントガラスの取り外しなど、高額な作業が連鎖的に必要になったのだ。

EVの修理費は高くなりがち

車の専門家たちは、EVの修理費は平均的にガソリン車よりも高額だと認めている。ただ、保険金請求と修理に関するデータを詳しく分析すると、EVの修理費は、似たような年式と価格帯のガソリン車と比べて著しく高いわけではなく、むしろ安い場合もあることが見えてくる。

「EVがあらゆる場所で全損になっているとしたら、保険会社は恐ろしくて夜も眠れないだろう」とマンデルは言う。「そういった事故は確かに起きている。だが、めったに起こるものではない」。

ミッチェルのデータによると、事故に遭ったEVの修理費は2022年には平均約6800ドル(約94万円)で、全自動車の平均修理費よりも2400ドル(約33万円)ほど高かった。ミッチェルによると、EVには高価な部品が必要となることが多く、修理にも時間がかかり、専門の整備士による作業が必要な場合もある。

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