「自動車のハイテク化→修理代が激高」という問題 軽い追突事故だけで驚きの請求書
ただ、EVの修理費が高くなりがちな大きな要因は、EVのほとんどが新型の高級車であることだ。EVの衝突に関わる保険金請求の75%は、販売価格が4万ドル(約550万円)から11万ドル(約1500万円)前後のテスラ車によって占められている。
ミッチェルによれば、ヒョンデ(現代自動車)や日産など一般的なブランドのEVの修理費は、同クラスのガソリン車のそれを約800ドル(約11万円)上回る程度。高級セグメントの2018年以降のモデルでも、EVとガソリン車の標準的な修理費はほぼ同じで、約7000ドル(約97万円)となっている。
事故後全損になるEVは6%にとどまる
EVの成績が比較的良いことを示すデータもある。ミッチェルによると、衝突事故に巻き込まれたガソリン車の約18%が全損となるのに対し、事故後に修理不能と判断されるEVは約6%にとどまっている。
保険業界の調査機関ハイウェイ・ロス・データ・インスティチュートの上級バイスプレジデント、マット・ムーアは、保険や修理に関するデータを見るとバッテリーや電気関連のテクノロジーによって修理費の負担が重くなっているとは考えにくい、と話す。
インスティチュートの分析によると、ヒョンデ「コナ」やボルボ「XC40」など、ガソリン車とEVの両モデルがある11車種で見ると、EVの修理費はガソリン車のそれを2%上回っているにすぎない。
ガソリン車であろうとEVであろうと、より高価で希少なハイパフォーマンスカーは、事故件数は少ないが重大な事故に関わる傾向がある。1つには、こういった車を運転する人はスピードを出しすぎることが多いからだ、とムーアは言う。
「こういう人たちは高い速度で激しく衝突する。事故はすべて、人とマシンが絡みあって起こるものだ」
ただ、EVの場合、最も高価な部品であるバッテリーパックが損傷すると、修理は難しくなる可能性がある、と車の専門家たちは指摘する。修理に特別な工具と高度な訓練が必要になるためだ。
(執筆:Lawrence Ulrich記者)
(C)2023 The New York Times
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