「薬がない!!」いま薬局で起きている切実な現実 万が一のための備えについて、薬剤師が解説
さらに薬不足は感染症の患者さんだけではなく、たとえば抗がん剤で治療をしている患者さんなどにも影響が及んでいるといいます。抗がん剤などの高額な薬は、ジェネリック医薬品の供給不足で先発品に変更になると、窓口での自己負担額が跳ね上がります。
「すると経済状態が思わしくない患者さんのなかには『高くて、とても薬代が支払えない。だから薬はいらない』と、服薬を拒否する人が出てきます。薬不足は、私たち薬剤師の目の前の患者さんの命に関わってくる問題なのです」(先の薬剤師)
薬不足に備えるには?
Q:感染症に関する薬不足に備えてできることはありますか?
A:誰にでもすぐにできることは2つあります。最も大切なことは感染症にかからないように予防することです。もう1つは、いざというときのため平時のうちに市販薬などを備えておくことです。
現在、薬局には多くの感染症の患者さんが来局しているといいます。先の薬剤師の話です。
「新型コロナの感染者数だけみると、昨年7~8月ほどまでには達していませんが、6月後半からは昨年の同時期のペースを超えるくらいの感染者数になってきています。5月はインフルエンザのほうが新型コロナより少し多かったものの、6月に入ると新型コロナの患者さんがどんどん増えて、6月の終わり頃にはインフルエンザの4倍くらいになりました」
新型コロナ以外の感染症については、「当薬局では、小児科の処方箋を受ける数はそれほど多くないのですが、データの上ではヘルパンギーナやRSウイルス感染症は昨年より少し多くなっています。胃腸炎も例年通り増えてきていますので、注意が必要です」と言います。
そこで、ヘルパンギーナやRSウイルス感染症など、主な感染症のうつり方と、予防の仕方を見ていきたいと思います。
■ヘルパンギーナ*1
【どうやってうつる?】ウイルスが含まれたくしゃみや咳を吸い込んだり、手についたウイルスが口に入ったりして感染します。
【予防の方法】原因となるウイルスはアルコール消毒液に抵抗性があるので、石けんでこまめに手を洗いましょう。家庭ではタオルを分けて使うなどの工夫を。子どもが使ったおもちゃなどは、塩素系の消毒剤で消毒します。
■RSウイルス感染症*2
【どうやってうつる?】くしゃみや咳に含まれたウイルスを吸い込んだり、手についたウイルスが口に入ったりして感染します。
【予防の方法】子どもたちが日常的に触るおもちゃや手すり、ドアノブなどをアルコールや塩素系の消毒剤で消毒します。流水・石けんによるこまめな手洗い、手が洗えない環境ではアルコール消毒剤による手指消毒をします。
■感染性胃腸炎*3
【どうやってうつる?】ウイルスなどの病原体がついた手で口に触れたり、汚染された食品を食べたりすることで感染します。
【予防の方法】ウイルスなどの病原体の侵入を防ぐため、料理や食事をする前やトイレの後に、必ず流水・石けんで手を洗います。また、食品の汚染を防ぐため、ウイルスなどを食品に付着させないように食べ物に触れる前の手洗いや、調理器具の消毒などを行いましょう。
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