支配層の忠誠を金で買う「プーチン」の怯える日々 粛清に踏み切れない脆弱な支配基盤

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
「プリゴジンの乱」以降、自身の身の安全をさらに固めるようになったプーチン大統領(写真:Sputnik/Alexander Kazakov/Kremlin via REUTERS)

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、複数の公邸に内装が全く同じ執務室を作らせ、そこから職務にあたっているといわれている。執務室で撮影された写真から、居場所を特定されるのを防ぐためだ。

補佐官たちの選考プロセスは極めて厳しく、元ボディーガードの1人がかつて補佐官たちを「選民カースト」と呼んだことがあるほどだ。

さらに、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まってから3年超が経過した今でも、ロシア大統領府は引き続き「クリーンゾーン」を設定。プーチンに近づく可能性のある人に対し数日間の隔離を義務付けている。

報酬によってエリート層を鼓舞

プーチンを知る人々によると、同氏は数十年にわたり、自身の身の安全に驚くほどの注意を払い、政敵が政府の権限を使って自身を脅かす事態を避けることに全力を注いできた。

そして先月、ウクライナでロシアのために戦っていた民間軍事会社ワグネルのエフゲニー・プリゴジン代表が一時的にでも反乱を起こしたことを受けて、プーチン氏はあらためてクーデターを警戒し、自身の支配体制を大急ぎで固めようとしているように見える。

プーチンは報酬によって支配層エリートの忠誠心を引き出し、自身を守る重要な支持母体、つまり銃を持った男たちにカネをばらまいているのだ。強権的な指導者はクーデターの試みや反乱に対し大規模な粛清で応じるのが普通だが、プーチンは今のところ、そのような対応は避けている。自身の支配基盤をこれ以上ぐらつかせるのを避けようとしているのかもしれない。

次ページ祝典で機嫌を取り、1割賃上げ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事