一晩寝かせて考えた人のアイデアが洗練される訳 レム睡眠によって人の記憶の痕跡は活性化される

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135年後、科学誌『ネイチャー』に発表されたドイツの研究によって、レム睡眠の創造的な効果が裏づけられることになった。

研究者たちは、学生を複数のグループに分け、特別な数学の問題を解くための指導を行った。じつは問題を簡単に解ける近道があるのだが、学生たちに事前に教えることはしなかった。

入眠前に解答に辿り着けなかった被験者のうち60%が、問題を「一晩寝かせた」あとに、裏技を思いつくことができた。他方、睡眠をとることが許されなかったグループでは、答えを導き出せた被験者の割合はたった22%だった。

どうやら一晩睡眠をとることで、問題を解決できる確率を高められるようだ。もちろん、解決が確実に保証されるわけではないが。

短い昼寝の場合はどうだろうか。宣言的記憶と手続き記憶は昼寝で強化される一方、創造性が助長されることはないという研究結果が出ている。

最近発表されたドイツの研究では、午後に3時間の睡眠をとった被験者には、たとえ長い昼寝の間にレム睡眠が発生した場合でも、創造性の向上を確認することはできなかったという。

幼児は夢で「世界」を理解する

加齢にともなってレム睡眠の割合が減少することが、研究によって明らかにされている。

それにもかかわらず、多くの年配者が主観的には、若い頃より多く夢を見るようになったと感じている。そのことを説明する原因のひとつは、高齢になると一般的に、夜の間より頻繁に、とりわけ夢の途中で目を覚ますためだと考えられる。

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それとは対照的に、乳幼児は非常に多くの夢を見る。これは研究室での測定を通して証明できる。

子どもたちが眠っている間、閉じたまぶたの後ろで眼球が上下左右に動く様子(レム睡眠中であることの証拠)を観察するだけで十分に確認できる。

そもそも、小さい子どもたちが夢をよく見るのは不思議ではない。この未知の世界に生まれたばかりの彼らは、生命を理解し、危険を認識し、他者の行動を正しく解釈し、自分の個性を伸ばしていくために、可能なかぎり創造的でなくてはならない。

別の言い方をすれば、子どもたちが個性を伸ばし、周囲の環境を理解するうえで、レム睡眠が役立つということだ。それに対し、人生の大半を生き、自らのまわりの世界とのつながりや理解を積み重ねてきた高齢者は、子どものように夢に依存しないのだろう。

クリスティアン・ベネディクト スウェーデン・ウプサラ大学准教授、睡眠研究者

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Christian Benedict

1976年、ドイツ・ハンブルク生まれ。スウェーデン・ウプサラ大学准教授、神経科学者、睡眠研究者。キール大学の栄養科学修士課程を修了。リューベック医科大学で神経内分泌学を研究、博士号を取得。2013年よりウプサラ大学の教壇に立つとともに、同大学の睡眠研究を牽引。

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ミンナ・トゥーンベリエル ジャーナリスト、作家

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Minna Tunberger

ジャーナリスト、作家。約20年にわたり、スウェーデン通信(TT)や日刊紙「スヴェンスカ・ダーグブラーデット」等の主要メディアに健康をテーマにした記事を執筆。

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