実は誕生から2世紀、「モノレール」知られざる歴史 初期は馬や蒸気機関車で運行、日本初はいつ?

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こうした中、1957年12月にいわゆる上野動物園モノレール(正式名「上野懸垂線」)が運行開始した。同モノレールは、地方鉄道法に基づく「鉄道路線」として最初に建設されたモノレールだった。

上野懸垂線が建設された経緯について、『東京都交通局50年史』(東京都交通局 1961年)には、「都内の路面交通の緩和策として懸垂電車の試験的建設が昭和31年7月3日庁議によって決定され、上野動物園内に建設されることになった」と記されている。上野懸垂線が、単なる動物園の遊戯施設ではなく、都市交通の問題解決のための実験線という使命を帯びて地方鉄道免許により建設されたことは、注目に値しよう。

上野動物園モノレール 出発式
上野懸垂線開業時の出発式(写真提供:東京都交通局)

上野懸垂線は、ヴッパータールのランゲン式をモデルとしつつ、騒音低減の観点からゴムタイヤを採用するなどの改良を加えたもので、一般に上野式と呼ばれる。この上野式は、都交通局のほか、日本車輛、東京芝浦電気(現・東芝)が技術開発にあたった国産技術に基づくモノレールだったが、その後、日本の各メーカーは海外のモノレール先進企業と技術提携することにより、モノレールの技術導入と開発を図るようになる。

またがるか、ぶら下がるか

日立製作所はコンクリートの軌道桁上をゴムタイヤで走行するアルヴェーグ式(西独ALWEG社)を導入(東京モノレールなどで採用)。川崎航空機(現・川崎重工業)は鋼鉄レール上を鋼鉄の車輪で走るロッキード式(米ロッキード社)を導入した(姫路モノレールなどで採用)。いずれも跨座型モノレールである。跨座型にはほかに、アルヴェーグ式をベースに、車体と台車を完全に分離したボギー連接台車構造にするなど、独自の改良を加えた東芝式もある(横浜ドリームランドモノレールで採用)。

一方、フランスのサフェージュ社が開発したサフェージュ式懸垂型モノレールの技術を導入したのは、三菱重工業、三菱電機、三菱商事の三菱3社を中心に、国内の有力企業10社が出資し、1961(昭和36)年3月に設立された日本エアウェイ開発だった。

このサフェージュ式モノレールは、ヴッパータール空中鉄道や上野モノレールと同じ懸垂型モノレールだが、パリ地下鉄で1956年に実用化したゴムタイヤ車両の応用と、フランス国鉄が研究試作した振子車両の理論をもとに、ルノー、ミシュランなどフランスを代表する企業の協力の下、当時のフランスの技術の粋を集めて開発された新方式だった。サフェージュ式は湘南モノレール、千葉都市モノレールで採用されている。

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