いやもう、このままプーチン政権がひっくり返るんじゃないかと思ってワクワクしていたけれども、途中でベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の仲介を受けて、軍隊を同国に向かわせることになった。
ロシア人は権力に従順でも「弱い指導者」には容赦しない
プーチン氏との間でどんな駆け引きや葛藤があったのかは想像もつきませぬが、限りなく戦国武将たちの世界に近いものだったのでありましょう。「狡兎(こうと)死して走狗(そうく)烹(に)らる」は世の習い。後世になって、「どうする、プーチン?」という大河ドラマが作られるとしたら、この辺が大きな見せ場となることだろう。
これから先のロシアがどんな風に展開していくのか、かの国にさほど詳しいわけではない筆者としては判断を留保するしかないのであるが、これだけ予想外の事態が続くということは、プーチン体制が揺らいでいることは間違いないのでありましょう。
ロシア人民は普段は権力者に対して従順だが、対外戦争で負けるような弱い指導者には容赦しない。かつてのロマノフ王朝は、日露戦争と第1次世界大戦の緒戦で敗れたら、なんと滅亡してしまった。
旧ソ連時代には、キューバ危機でジョン・F・ケネディ大統領に屈したニキータ・フルシチョフ書記長はのちに失脚した。そしてアフガニスタン侵攻失敗後は、ミハイル・ゴルバチョフ政権下でペレストロイカとグラスノスチ運動が始まり、ついにはソ連そのものが消えてしまった。「ワグネルの乱」平定後のプーチン政権には、はたしてどの程度の余命があるのだろうか。
マネーの世界にかこつけて言うならば、「ああ、これで『フローズン・アセット』の議論が急速に進むのだろうな」と思われてならない。「フローズン・アセット、何それ? おいしいの?」と思ったそこのあなた、そろそろこの言葉をマークしたほうがいいですぞ。
ウクライナ戦争が勃発した直後の昨年3月、西側諸国がロシア政府の外貨準備凍結に動いたことはご記憶であろう。総額6000億ドルといわれるうち、金地金や中国などに預けてあった分はさすがに無事に済んだが、西側諸国の中央銀行が預かっていた約3000億ドル(約43兆円)分のロシア資産は凍結されたままなのである。
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