「非正規の女性」が婚活で直面するつらすぎる現実 まずは就活と婚活、どちらを優先すべきか

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恵さんは専門学校卒業後、学校に求人が出ていたアニメ制作会社に入ります。正社員ではなくアルバイトだったそうですが、そのときは雇用形態の違いをあまりわかっていなかったそうです。

その会社はいわゆる“ブラック企業”。恵さんは入社1カ月でクビになりかけ、「使えない」と言われて他部署に異動になりました。手取りは15万円ほどで、都内で一人暮らしをしていました。

月給をもらっている同級生がいる中で、自分が時給雇用であることに違和感もあったと言います。

「自分で仕事をとってきてフリーランスとして活躍する人もいる業界ですが、私には無理だと感じました。一方で、入社してすぐ解雇されそうになった経験から、他社に移ったとしても自分がそこできちんと働くイメージも持てませんでした。3年働いた後に退職し、愛知に戻ることにしたのです」

そして実家の近くでアルバイトを見つけ働き始めました。専門学校時代の友だちは同じようなフリーターが多く、正社員として働くための就活をするという選択肢は思いつかなかったと話します。

25歳の頃に、近所のショッピングセンターで手書きのPOPを書いている某チェーンの量販店の求人が目に入りました。絵を描くのが好きな恵さんは「能力を生かせるかもしれない」と応募し、アルバイトとして働き始めました。

デート相手に「アルバイト」だと明かすのに気後れ

しばらくして同僚から、作業療法士の男性を紹介されたことがあったそうです。LINEを交換し、2人で2回ほど食事をしました。そのとき男性から「お仕事は何ですか?」と質問され、自分がアルバイトであることを伝えるのに気後れしたといいます。

デートの段取りや相手の仕事の話を聞きながら、格差を痛感してしまいました。ぎこちない雰囲気が伝わってしまったのか、デート後にお礼のLINEを送っても男性からの返信はありませんでした。そこで初めて、もうすぐ30代になるのにキャリアも恋人もいないことに焦りを感じ、就活を始めたそうです。

正社員を目指すものの、2019年当時の恵さんはアルバイト先の社員になるつもりはありませんでした。当時の心境をこう話します。

「自分にはこの仕事は向いていないと思っていました。アルバイトにも評価制度があるのですが、何年か働いていたのに時給は上がらず不満がありました。だからもっと自分を適正に評価してくれる会社に行ったほうがよいのではとすら考えていました。

今思えば、自分の何が評価されていなかったのかがわかります。あるとき、店長から新商品の売り場作り教えてもらったのですが、自分で陳列を完了させる前に店長に確認を取るべきだったのですが、私は『何年も働いているから確認してもらわなくていい』と思って見てもらわず、そのまま退勤して怒られたことがありました。

現在は店長として教育する側になったので、情報を共有してくれないスタッフがやりにくいのがわかります。でもそのときは、ただ怒られたと感じてしまいました。

それ以降は怒られたくない一心で、毎回新商品が入るたび陳列場所の許可をとっていたら、今度は店長に『他のスタッフはあなたみたいに毎回確認しなくても自分で考えて陳列しているよ。だから評価は上げられない』と言われてしまいました」

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