アクアライン「変動料金制」で渋滞は解消するか 時間帯により800円から1200円または600円に

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その効果は抜群で、昨年暮れの訪問では、クリスマスシーズンであったにもかかわらず、都心での渋滞にはまったく出会わなかった。

そのほか、イギリス・ロンドンでは2003年から、スウェーデン・ストックホルムでは2007年から、ロードプライシングが導入されている。

ロンドンでは一定エリアに流入するクルマに、時間にかかわらず均一の課金をするというスタイル。ストックホルムでは、シンガポール同様に、時間帯で料金が変わる変動制を採用している。

慢性的な渋滞が発生していたロンドン(写真:MagicBones / PIXTA)

さて、果たしてアクアラインでの料金変動制の試行は、渋滞緩和にどれくらい効果をもたらすであろうか。

これまでも、夕方の渋滞を避けるため木更津のアウトレットで夜まで時間をつぶして、渋滞が消えかけたころに出発するなど、渋滞を回避する人も一定数いた。

今回の試行で、最混雑時の夕方の通行台数はある程度は減るかもしれないが、その一方で料金が1200円から半額になる8時過ぎに、もう一度混雑のピークが来るかもしれないという予想も立つ。

また、現在も多い業務でアクアラインを利用する人の中で、特に土日祝日も出勤の必要がある人にとっては、ちょうど帰宅時の料金の“値上げ”につながるため、負担が増す人も出そうだ。

7カ月の社会実験の効果やいかに?

筆者がアクアラインを定期的に利用していたとき、実は渋滞よりもさらに気をつけていることがあった。それは、“風”だ。

東京湾アクアラインのアクアブリッジ(筆者撮影)

陸上では無風でも、アクアブリッジの上では強風ということがあり、こんなときはすぐに速度規制が行われるし、風速が毎秒20mを超すとほぼ通行止めになることもあって、いつも事前に風速を調べてからアクアラインに挑んでいた。

車高の高いクルマに乗っていて風にあおられることも多かったことから、風が弱まるまで大学で時間をつぶしたこともある。

もう1本、三浦半島の横須賀市と房総半島の富津市の間、つまり久里浜~金谷を結ぶ東京湾フェリーとほぼ同じコースをトンネルで結んでくれたら、どんなに便利になるだろうと妄想したこともあったが、莫大な建設費を考えると現実的ではないだろう。

およそ7カ月の試行で渋滞緩和に大きな効果があるとわかれば、この施策は本格運用に切り替わる可能性も高そうで、この試行の結果に注目したい。

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佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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