「インディ・ジョーンズ」誕生から42年の紆余曲折 最終シリーズ、スピルバーグは自ら監督を降板
そして、映画は3本では終わらなかった。3作目『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)がまたヒットした後、スピルバーグとフォードはもう1本作りたいと言ったのだ。それで、次はインディに何を追いかけさせるのかを考えたが、頑固者でこだわりの強い3人は、なかなか意見が合わない。途中、ルーカスは、「もともと三部作だったのだから、もう終わりでいいだろう」と思ったという。
しかし、ようやくみんなが納得するストーリーが決まり、3作目から19年後の2008年、『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が、カンヌ国際映画祭で世界プレミアとなった。
この4作目には、インディが存在を知らなかった息子の役で、シャイア・ラブーフが出演する。ラブーフはスピルバーグ製作の『トランスフォーマー』の主役にも抜擢された若手俳優で、『インディ・ジョーンズ』シリーズは、ラブーフに代替わりして続くのではないかとの憶測も出た。
だが、その後、私生活でのトラブルのせいでラブーフのキャリアは大きな浮き沈みをたどることに。『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』にラブーフは出演せず、息子がどうなったのかについては映画中のせりふで説明される。
今回の5作目も、前作から15年かかった。ルーカスフィルムが5作目の企画を発表したのは、2016年のこと。公開予定日は2019年7月だった。当初、脚本家に雇われたのは、『ジュラシック・パーク』(1993)、『ミッション:インポッシブル』(1996)などを手がけたデヴィッド・コープだった。
だが、その脚本にはゴーサインが出ず、ジョナサン・カスダンが新たな脚本家に雇われるも、降板。2019年にコープが再び戻ってきたが、2020年2月、スピルバーグは、「新鮮な視点から見つめてもらうために」と、監督を降板した。そこで白羽の矢が立ったのが、『野性の呼び声』(2020)でプロデューサーとしてフォードと組んだところだったジェームズ・マンゴールドだ。
脚本家でもあるマンゴールドは、その時点であった脚本に満足せず、ジェズ・バターワース、ジョン=ヘンリー・バターワースと一緒に、新たな話を書く。この記事の冒頭でも触れたとおり、その脚本を、フォードは大いに気に入った。「インディがキャリアの最後、人生の終わりに近づく様子を見ることで(長く続いてきた)話をきちんとまとめたいと、ずっと思ってきたんだ」とも、フォードは会見で語っている。
彼の言うとおり、この最終章は、まさにそれをやる。この映画のはじめで、インディは学者生活を引退し、刺激のない毎日を送っている。そこへ、思わぬ形で冒険が訪れるのだ。そして、最後には、シリーズを締め括るのにふさわしいラストが待っているのである。
それにしても、この役をフォード以外の人が演じていたかもしれないということは、想像もできない。映画を見ながら、誰もがそう感じることだろう。42年も夢を与えてくれたフォード、スピルバーグ、ルーカスに、あらためて感謝を送りたい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら