新生銀行を悩ます株価、公的資金返済の壁 メガバンクでも地銀でもない「強み」とは?

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あおぞら銀行がほとんど大型買収をせず、着実に利益を積み上げ、公的資金返済にメドをつけたのとは対照的だ。新生銀行単体の剰余金は2784億円(2014年9月末)と、あおぞら銀行に比べてほぼ半分しかない。

仮に、株価が短期間のうちに目安である700円台まで上がったとしても、現状の剰余金の水準だと政府の保有株式をすべて買い取ることはできない。いずれにしても、収益力を高めて剰余金を積み上げ、同時に株高も実現する必要がある。

遅れを取り戻す術

今後、新生銀行は、収益力をどれだけ高められるのか。現在の主力事業は個人向け金融だ。個人への無担保ローン残高は、足元8%近い成長と、伸び幅が拡大している。だが、この事業は広告宣伝費などに多額のコストがかかるため、法人向け事業に比べると利益率が低い。

利益を大きく伸ばすためには、法人向けも拡大させる必要がある。近年、力を入れているのが、国内外の債権や未上場株への投資だ。14年度は投資先のIPO(新規株式公開)が増えたことで利益も拡大したものの、投資残高のほうは減少傾向。この15年度は利益が縮小しそうだ。また、太陽光発電や海外インフラのプロジェクトファイナンスにも注力しており、その残高は着実に伸びているが、利益の寄与度はまだ小さい。

工藤新社長の下、独自のビジネスモデルを構築し、市場の評価を上げられるか。遅れを取り戻すには、早急に実績を示すしかない。

「週刊東洋経済」2015年5月2-9日号<4月27日発売>「核心リポート04」を転載)

福田 淳 東洋経済 記者

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ふくだ じゅん / Jun Fukuda

『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などを経て編集局記者。

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