親がマルチタスク型の場合、子どもの様子が、一挙手一投足全て見えてしまいます。アンテナの張り方が広範囲にわたり、特に子どもの欠点、短所、行動しない点、親の思い通りにならない点などが気になります。すると、次のようなことを子どもに言います。
「早くやってしまいなさい!今やったら後で楽(得)でしょ!」
すると子どもは「やりたくない!(嫌いだからやらない)」と返してきます。
つまり、これは2つの価値観の衝突です。損得基準の親と好き嫌い基準の子どもが衝突すると、やがて親は無理やりやらせて、親子の関係が壊れていくということが起こります。
一方、親がシングルタスク型、子どもがマルチタスク型の場合、「うちの子、勉強しなさいと言わなくてもやるんです」と言われるケースが多いです。
なぜなら、シングルタスク型の場合、あまり子どもの細かいことまで見ることはなく、大きな問題がなければスルーするケースが少なくないからです。すると子どもは伸び伸びとし、さらにマルチタスク型の特徴を活かし自分で仕組みを作って回していきます。
おそらく、斉藤さんのケースは母親がマルチタスク、お子さんがシングルタスク型かと思われます。
また、夫婦間ではマルチタスク型とシングルタスク型が引き合って夫婦になっていることが少なくないと聞いています。ちょうど磁石のNとSのように互いに異なるタイプが、自分にないものを求めて引き合っているようです。しかし、お互いの違いが魅力的だったものが、やがて夫婦になると、違いが問題となりトラブルになることもあるようで夫婦関係は複雑です。
では、どのように対応すればいいでしょうか。まずは、以上のような「2つの大きな価値観の違い」があると認識することから始めていきます。すると、理解ができると思います。
うまくいかないときは“ドア”の種類が異なっている
「なぜ〇〇のときに△△な行動を取るのか?」と自分の理解を超える言動がある場合、以上の2つのタイプがいることを知っていると「なるほどね。価値観が全然違うわけね」と理解できます。
そのうえで、相手の価値観を尊重し、「得のドア」か「好きのドア」か、どちらのドアから入るか試してみてください。うまくいかないときは大抵、“ドア”の種類が異なっています。
なお、親子関係、夫婦関係など、特に人間関係に大きなトラブルがない場合は、マルチタスク型、シングルタスク型と分けて人を認識する必要はありません。無理にタイプを当てはめると、その人をそのタイプのように見てしまうという弊害もあるからです。ですから、今、関係が思わしくないと思われる場合に、この2つのタイプとそれぞれの価値観を思い出してみてください。すると、「なるほど!だからか!」となります。
これが「理解すること」だと思っています。相互理解のためには、まずは一方からの理解がなければ、先方からの理解を得ることは難しいことでしょう。
以上、参考になれば幸いです。
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