5800万円超の英国製スポーツカー「MONO R」の凄み 公道を走れるフォーミュラーカーが日本上陸

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ブリッグス氏
BAC社のブリッグス氏(筆者撮影)

ちなみに、顧客の主なターゲット層をブリッグス氏に聞いてみた。それによれば、まず、「マクラーレンやフェラーリ、ポルシェなど、一般的なスーパースポーツカーでは飽き足りなくなってしまったスポーツカー愛好家」だという。また、MONO Rは、少数生産のため、2023年4月現在の世界販売台数は40台程度。かなりレアなモデルであることから、「英国製スポーツカーを好むコレクターなども顧客になるだろう」と予想する。

たしかに、イギリスはモータースポーツの歴史も長く、市販スポーツカーも数々の名車を生み出してきた国だ。昔からの愛好家が憧れることもたしかだろう。さらに、生産台数が少ないレアなモデルであることで、購入後に価格が上がることも予想される。そのため、ブリッグス氏は「投資目的として購入する層もいるだろう」という。いずれにしろ、家やマンションも買える価格だけに、基本的には、富裕層が顧客となることだけは間違いないだろう。

今後の展開

MONO R
後ろから見たMONO R(筆者撮影)

このように、BACのMONO Rは、究極のスポーツカーを所有できるのなら、「いくらお金を出してもかまわない」といった、かなり究極のマインドを持つ愛好家向けだ。しかも、ファンは日本をはじめ世界中にいるという。あくまで私見だが、近年のカーボンニュートラル実現に向けたクルマの電動化といった流れも、MONO Rが世界的に注目されることに関連しているかもしれない。多くの愛好家が、「ガソリンエンジンを搭載したスポーツカーが(電動化などにより)消滅する可能性がある。乗るなら今しかない」といった意識を持つためだ。

なお、BACでは、今後、カーボンニュートラルに向けた対応として、「MONOのFCV(燃料電池車)版を開発中」だという。水素を燃料とし、電動モーターで走るスポーツカーだ。ブリッグス氏は、「(バッテリーと電動モーターで100%走る)BEVよりも、航続距離などがより長くなるFCVのほうがスポーツカーには向いている」という。

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ただし、FCVは、バッテリーやモーターだけでなく、大容量の水素タンクも搭載する必要があり、車両重量はかなり重くなってしまう。単純にパワートレインなどを変更するだけでは、555kgという超軽量なMONO Rの魅力はスポイルされてしまうだろう。そのため、BACでは、現在、「さらなる車体の軽量化などを検討している」という。

販売台数などを考えると、かなりレアな存在ではあるが、本物のフォーミュラーカーさながらの走りが堪能できることで、世界中の愛好家に注目されているBAC製スポーツカー。新進気鋭のメーカーが、これから自社のマシンにどんな進化を与えるのか、今後の動向も気になるところだ。

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平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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