72歳、5万円で1人暮らし「生命保険を解約」の納得 「もしも」を遠ざけるのは健康的な暮らしと検診

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「こういうがんはどのくらい速さで進行するのかわからない。10年経っても、今と変わらない可能性もあり、2、3年で進行するかもしれない」

という医師の言葉に、

「10年経っても変わらないかもしれない」

「検診を受けなければ、知らずにそのまま10年、何ごともないまま過ごしていたかもしれない」

と儚(はかな)い希望のような感情を抱いたからです。

しかしセカンドオピニオンとして他の医療機関に相談したところ、

「あなた、乳がんが初期で見つかったのは幸運と思わなきゃ。見つかったのに、手術しないという選択肢はないわよ」

という叱責とも慰めとも取れる言葉に押され、知人が通っていたがんセンターの医師を紹介してもらいました。何度か診断を受け、結局は手術することとなりました。

安心のためにもがん検診を

『72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』(マガジンハウス)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

病室は6人部屋で、昼間はみんなの「乳がん談義」に花が咲く、まるで女子校のような雰囲気でした。

乳房温存したものの、再発して再度の手術をすることになった人、まだ若く、幼い子ども2人と夫が見舞いに来ている人もいました。みんな、乳がんになったというのに、こんなに明るいのかと驚き、励まされたものです。

しかしその明るさも夜になると一変します。

私の隣のベッドは30代後半の女性でした。彼女も昼間は笑顔を見せたりするのですが、夜中になるとカーテンを隔てただけのベッドから、嗚咽(おえつ)が聞こえてきます。

彼女は「おかしい」と感じながらも、仕事が忙しいことや乳房がなくなるとの恐れとで病院に行くのを先伸ばし、ようやく決心したときには「最終ステージ」まで進行していたのです。後悔と絶望とが夜になると押し寄せるのか、カーテンを通して響いてくる押し殺した嗚咽、号泣は、つらく悲しく、胸を締め付けられる思いでした。

現在では乳がん検診も頻繁で、女性の意識も高く、早期発見、完治の確率は高くなっています。繰り返しますが、女盛りの40代は忙しい盛り。それでも安心のための検診と思えば、時間もお金も高くはありません。

毎日上り下りする土手の階段。散歩は筋トレも一緒にやる(写真:マガジンハウス提供)
紫苑 フリーランサー

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しおん / Shion

1951年生まれ。牡羊座。地方新聞社勤務を経てフリー。2年前のコロナ禍のなか年金の少なさと向き合い、対策を考える。2020年3月から「月5万円年金生活」を実行しはじめブログにアップ。美味しく健康にいい月1万円レシピや、リメイクおしゃれ、百均DIYなど、お金を遣わなくても楽しめる工夫の数々を紹介。反響を呼び、新聞、雑誌、テレビなどでも取り上げられる。少ない年金でも安心して暮らすためのノウハウや生活スキルを知ってもらうため、日々活動している。

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