「こういうがんはどのくらい速さで進行するのかわからない。10年経っても、今と変わらない可能性もあり、2、3年で進行するかもしれない」
という医師の言葉に、
「10年経っても変わらないかもしれない」
「検診を受けなければ、知らずにそのまま10年、何ごともないまま過ごしていたかもしれない」
と儚(はかな)い希望のような感情を抱いたからです。
しかしセカンドオピニオンとして他の医療機関に相談したところ、
「あなた、乳がんが初期で見つかったのは幸運と思わなきゃ。見つかったのに、手術しないという選択肢はないわよ」
という叱責とも慰めとも取れる言葉に押され、知人が通っていたがんセンターの医師を紹介してもらいました。何度か診断を受け、結局は手術することとなりました。
安心のためにもがん検診を
病室は6人部屋で、昼間はみんなの「乳がん談義」に花が咲く、まるで女子校のような雰囲気でした。
乳房温存したものの、再発して再度の手術をすることになった人、まだ若く、幼い子ども2人と夫が見舞いに来ている人もいました。みんな、乳がんになったというのに、こんなに明るいのかと驚き、励まされたものです。
しかしその明るさも夜になると一変します。
私の隣のベッドは30代後半の女性でした。彼女も昼間は笑顔を見せたりするのですが、夜中になるとカーテンを隔てただけのベッドから、嗚咽(おえつ)が聞こえてきます。
彼女は「おかしい」と感じながらも、仕事が忙しいことや乳房がなくなるとの恐れとで病院に行くのを先伸ばし、ようやく決心したときには「最終ステージ」まで進行していたのです。後悔と絶望とが夜になると押し寄せるのか、カーテンを通して響いてくる押し殺した嗚咽、号泣は、つらく悲しく、胸を締め付けられる思いでした。
現在では乳がん検診も頻繁で、女性の意識も高く、早期発見、完治の確率は高くなっています。繰り返しますが、女盛りの40代は忙しい盛り。それでも安心のための検診と思えば、時間もお金も高くはありません。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら