72歳、5万円で1人暮らし「生命保険を解約」の納得 「もしも」を遠ざけるのは健康的な暮らしと検診

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これなら500万もらったほうが得という計算になりますが、解約時に入るお金が300万とちょっと。これを合わせるとおよそ498万円とトントンですが、手元に300万があり、毎月保険料を払わないのは気持ちの安心につながると、解約に踏み切りました。

生命保険については何かあったときに不安という人や、ずっと払っているのに今さらの解約は「損する」とためらう人も多いと思います。

これまでの払いが無駄になる。これはコンコルド効果といって、それまでの蓄積を惜しみ、損とわかっても続けることです。コンコルドとは仏米で共同開発されていた旅客機ですが、赤字になるとわかっていながら、今さら中止することができずに継続し、ついに倒産したことから来ています。

「病気や死んだときを考えたら怖い」という方は多いようです。

「確率が低くても、可能性はある」といった気持ちかと思いますが、これって宝くじに似ているような気がします。どんなに確率が低くても、買わないと当たらない。死亡保険に入る人と宝くじを買う人は、同じ発想で行動している人かもしれません。

私の娘も解約組です。お金の勉強をし始め、一家の高額医療費限度額を調べたうえで、安い掛け捨てに変更しました。

生命保険分は、もちろん先のために貯金に回すそうですが、健康的な生活を続ければ、病気の確率は減っていきます。すべては確率の問題ですが、当たり前に払っていたお金も、残りの人生とのバランスで決めていくことが重要かと思います。

健康は一番の節約! 毎日の筋トレは欠かしません(写真:マガジンハウス提供)

50歳前に気付く健康の大切さ

私の人生で一番大きな病気は、50歳を前に見つかった乳がんです。

同年代の知人に同じ病気が見つかり、心配になったため乳がん検診を受けたのです。当時の検診費用が10万円、私には大きい金額でしたが、両親ともに70代、80代のときにがんで死んでいますので、万が一のことがあれば子どもたちが心配、と考えて安心料として検診を受けました。

それがまさかのドンピシャ。右側の乳房でした。ステージⅠだったのは不幸中の幸いです。

私のケースは乳腺の周りに小さながん細胞が散らばっている浸潤(しんじゅん)性のがん。一部を切り取るだけとはいかず、乳腺を含めて全部を切り取ることになると医師は言いました。

全摘出。かなり迷いました。

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