「羽生結弦」出演ショーが地域振興に絶大効果 奥州市開催「スターズ・オン・アイス」が大盛況
アイスショーのチケットは安くはない。今回のスターズ・オン・アイスでは、いちばん安い席が8000円で高い席になると2万4000円だった(「最前列スペシャルシート」や、注釈付席、ビギナーズシートといった席種を除く)。
それでもファンは、チケット代に加え交通費、時に宿泊費まで払って会場へ足を運ぶ。それは、フィギュアスケートの演技が一期一会だからだ。まったく同じ演技を生で見ることは2度とできない。スケーターが活躍できる期間には限りもある。さまざまな思いを抱くファンにとって、自分の座る席がどんな見え方をする席であるのかは極めて重要だ。
「都会のアリーナほど大きくないので、スケーターまでの距離がすごく近い。2階席で見た人からも、かなりの迫力で見応えがあったと聞きました」。Zアリーナを含む体育館などの施設を管轄する生涯学習スポーツ課の千田芳明課長補佐はそう話す。
リンクとの近さを感じられる席で演技を見ることのできたZアリーナでの公演は、多くの観客にとって満足できるものになっただろう。
今回のショーが成功を収めたことから、Zアリーナの今後の活用のヒントも得たという。「これを機に、またここでアイスショーが開催されることもあるのかな、と」(千田課長補佐)
「はやぶさ臨時便」も貴重な体験に
もう一つ注目されたのが、新幹線「はやぶさ」の臨時便だ。JR東日本は奥州公演の観客の利用を想定し、公演中の3日間、17両編成のはやぶさを会場最寄りの水沢江刺駅に停車させた。水沢江刺は通常だと停車しない駅だ。この「はやぶさ臨時便」を喜んだファンは多かった。
JR東日本盛岡支局の広報担当によると、臨時便自体は大規模イベントの際にしばしば設定するもので、それほど珍しいものではないという。
一方、ファンからすると、「“推し”のため、自分にとって大事なイベントのために新幹線が停まった」ということには大きな意味がある。その便に乗ったこと自体が特別な思い出となった人もいただろう。SNSには臨時便の車内や電光掲示板を撮影した写真を添えた投稿も見られた。
また、利用客からは「駅での対応が丁寧でよかった」との声も多かった。これについて水沢江刺駅に尋ねたところ、スターズ・オン・アイスのために公演期間の3日間、社員を集め駅のスタッフを通常の倍以上に増やして対応したとのこと。一度に数百人が乗降するとなれば水沢江刺駅は人が入りきらないほどに混み合う。それを見越して、混乱を防ぐための準備をしていたのだ。
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