「羽生結弦」出演ショーが地域振興に絶大効果 奥州市開催「スターズ・オン・アイス」が大盛況

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オープニングには、多くのスケーターが次々リンクに登場して目が離せない。「スターズ・オン・アイス ジャパンツアー2023」2023年4月6日 横浜公演初日(撮影:梅谷秀司)

失敗すれば市の評判に傷がつく

成功裏に終えられたのは、地元・奥州市の手厚い協力があったからだ。ただ、実務を担った奥州市協働まちづくり部の千葉達也部長に話を聞くと、不安もあったという。

「羽生結弦さんの出演が決まるとチケットの申し込みが増え、1日4000〜5000人が来場されるらしいという情報が市にも入ってきました。多くの方に来ていただけるのはうれしいことですが、これはまずいな、とも思いました。会場へのアクセスなどの点で不備があれば市の評判を落とす。きちんと準備してお迎えしなければと」

準備に当たって生きたのが、「いわて奥州きらめきマラソン」を開催してきた実績だ(2023年5月21日に第7回が開催)。マラソン参加者にスタッフやボランティアを加えると約6000人が集まる大会で、主催に名を連ねる奥州市には大規模イベント開催のノウハウが蓄積されていた。

一方で、マラソンとアイスショーとでは性質が異なる部分も多い。「公演前後の数時間に4000〜5000人もの人が一斉に動くとなると不安もありました。しかもそれが3日続く。私の役所経験の中でも初めてのことです」(千葉部長)。

公演当日は「水沢江刺駅・Zアリーナ」間で片道500円の有料シャトルバスを運行。車での来場者向けの駐車場も複数用意した。公演期間中、Zアリーナにはトイレ不足に備えて仮設トイレを設置した。踏襲できる前例がない中での試行錯誤だった。

郷土の芸能と料理でお出迎え

そして、「奥州公演特別企画」として披露した鹿踊である。地元の郷土芸能団体に所属する人たちが踊り手となった。公演が行われた4月3日〜5日は年度始めでしかも平日のため、社会人には厳しい時期だったが、多忙の中で皆なんとか都合をつけた。

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