禅僧が説く「感情に振り回されない」心の持ち方 呼吸と姿勢を整える、それが「心を磨く」第一歩

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いすに座るときの姿勢も同じです。背もたれの少し手前に腰を下ろし、骨盤を立てて頭が背骨の真上にくるように座ります。背もたれに寄りかかるのはラクな姿勢に思えますが、そうではありません。背骨が頭をしっかり支えることができなくなるため、その負担が首や肩、背中や腰にかかってきます。ねこ背の人と同じように、肩こりの原因になったり、胸やおなかが圧迫されて内臓の働きが悪くなったりするのです。

座るときにも丹田に力を入れて、背すじを伸ばすことが大切です。いすの座面はやわらかすぎない方が正しい姿勢を保ちやすく、体にはやさしいのです。

立っているときには六尺前、坐っているときには三尺先

自分の姿勢が正しいかどうかは、丹田呼吸をしてみるとよくわかります。まずは丹田から息を吐き、次に吸い込んだ息を丹田にまっすぐに落とすのです。胸のあたりで息が止まるような感覚があれば、姿勢は正しくありません。丹田まで自然にストンと息が落ちるまで、姿勢を整えながら何度でも繰り返してみましょう。

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外を歩くときにも、この姿勢を維持しながら歩きたいものです。最初は姿勢を正していても、気がつけば背中が丸くなってトボトボ歩いている、ということがあるかもしれません。その場合、目線の位置を意識して変えてみましょう。

禅では、立っているときには六尺前(1.8m先)、坐っているときには三尺(91cm)先に視線を落とすよう教えられます。六尺とは、畳の縦一枚分。三尺とは半畳分です。歩いているときにも、そのくらい先に視線を置きながら歩くと自然に背すじが伸びていくはずです。

電車やバスに乗っているときにも、ドアに体を預けたりせず、背すじを伸ばしてつり革につかまりましょう。正しい姿勢を維持しながら、体幹も鍛えられます。

テレビに映る高齢の俳優さんたちは、いつも見事なほどに若々しく見えます。それはお顔のシワとは無関係。しゃんと伸びた背中が、オーラを放っているのです。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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