「松本人志」批判されても"圧倒的支持"3つの背景 ナイツ塙「松本さんはウォルト・ディズニーだ」

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『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)、『すべらない話』、『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』(Amazonプライム・ビデオ)といった番組の企画者であることはもとより、『笑点』(日本テレビ系)とは違う“競技性のある大喜利”を開拓した第一人者としても知られている。

『ガキ使』の企画の1つ「笑ってはいけないシリーズ」は、2006年~2020年まで長きにわたって大晦日の風物詩となり、アッと驚くようなゲストが登場することでも視聴者を楽しませた。つまり、芸能界のあらゆるジャンルのタレントが「参加したい」と思うようなフォーマットを作ったということになる。

注目すべきは、松本をはじめとする『ガキ使』のレギュラーメンバーを笑わせるためにゲストが登場するシステムだ。これを成立させるためには、「松本やレギュラーメンバーが笑うことは大抵の視聴者にとっても面白い」という暗黙の了解が必要になる。

コロナ禍で収録が難しくなる前まで10年以上放送されたのは、この点にズレがなかったことの証明ではないだろうか。

一方で、芸人は“松本の作った遊び”の中で、よりよいパフォーマンスを見せようと注力する。とくに『IPPONグランプリ』や『ドキュメンタル』といった笑いの優劣がつく番組の場合、挑戦者である芸人が活躍すればするほど“番組フォーマットの秀逸さ”もまた浮き彫りになる。

自身が企画から携わる番組がヒットし、そこに多くの参加者が集まってさらに活性化していく構造だ。こうしたフォーマットをいくつも生み出したことで、松本ブランドへの信頼度が高まっていったのだろう。

笑いの仕組みを示す教科書を作った

別の見方をすれば、松本は“笑いの仕組みを示す教科書を作った”とも言える。

例えば『すべらない話』は、出演者それぞれの語り口でエピソードトークをひたすら披露する番組だ。身振り手振りと擬音を駆使する宮川大輔、バリトンボイスで巧みに状況を描写するケンドーコバヤシ、流暢な関西弁と辛辣さが特徴の小籔千豊など、この番組から注目を浴びた芸人は数多い。

その一方で、「どう語れば面白くなるのか」が世間に浸透した一面もある。滑稽な情景や心理状態、セリフなどを駆使し、過不足なく話のディテールを構築しながら話のオチへと運んでいく。時にツカミで「いかに変わった人物か」を簡単に紹介し導入するパターンなど、この番組から“さまざまなトークの組み立て方”が露呈されたのは間違いない。

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