3000系は登場翌年の2009年、鉄道友の会の「ローレル賞」に選ばれた。同会は選定理由を「標準工法や標準機器類の採用によってコスト削減を狙った車両が全国的に増加する傾向の中で、京阪電気鉄道3000系は、ブランド作りを意図する鉄道会社のイメージリーダーとしての役割を担い、明確な設計コンセプトを貫き、新しいデザインを築き上げ、車内設備が充実した魅力のある車両を実現しました」と説明している。同年の最優秀「ブルーリボン賞」は “青いロマンスカー”こと小田急電鉄の60000形「MSE」。京阪3000系とは“同期”ということになる。
また3000系は同年、中之島線の駅と合わせてグッドデザイン賞を受賞している。さらに2022年、今度はプレミアムカーがローレル賞を受賞した。このときの選定理由では「京阪特急列車は転換クロスシートを備え、時代に呼応した幾多の細やかなサービスを提供してきました。その系譜を引き継ぎ、風雅な趣のある3850形プレミアムカーでは、通勤・観光のあらゆるシーンにおいて瀟洒で心地よい移動空間を楽しむことができます」と指摘した。
進化を続ける3000系
中之島線開業のシンボルとして登場した3000系。2023年6月時点で同線に定期列車として乗り入れる運用はない。だが、2025年開催の大阪・関西万博が転機になりそうだ。期間中、同社は特急を京都方面から中之島線直通で走らせ、会場までシャトルバスを運行する方針だ。その役割を担うのは現在の特急の運用からすると8000系と3000系ということになる。
さらに万博が閉幕した同年秋にはプレミアムカーを増備、3000系のプレミアムカーを現在の1両から2両にする。3000系に増備するのは隣の一般車両の混雑が2ドアの8000系よりも避けやすいという考えからだ。車両部の西尾さんは「プレミアムカーのブラッシュアップを検討する。2両化した場合のアテンダントのオペレーションをどうするかを含め、フレキシブルな配慮をしなくてはいけない」と話す。
京阪電気鉄道「3000系」
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車端部はロングシート。ドア間はクロスシート
(記者撮影)
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2人がけのクロスシート
(記者撮影)
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車内の通路は広め
(記者撮影)
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ドア横の仕切り。手すりも円弧を描く
(記者撮影)
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ドア横の仕切り。手すりも円弧を描く
(記者撮影)
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ドア横の仕切り。手すりも円弧を描く
(記者撮影)
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1人がけのクロスシート
(記者撮影)
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8000系と違い、車内に中吊り広告がある
(記者撮影)
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車端部は車いすスペースとロングシート
(記者撮影)
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後方から見た車内
(記者撮影)
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新造したプレミアムカー
(記者撮影)
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新造したプレミアムカー
(記者撮影)
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プレミアムカーも1+2列
(記者撮影)
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側面のドアは両開き
(記者撮影)
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ドアの窓も三日月のように弧を描く
(記者撮影)
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ドアの窓も三日月のように弧を描く
(記者撮影)
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向かい合わせにした車端部の座席
(記者撮影)
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仕切りのガラス部分にもテーブルを取り付けた
(記者撮影)
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車端部の座席は背もたれヒーターの機能付き
(記者撮影)
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座席の肘かけの電源コンセント
(記者撮影)
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反射式照明の光がまんべんなく車内に広がるように
表面加工にはこだわったという(記者撮影)
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本を読むときなどにも影ができにくい
(記者撮影)
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複層ガラスに内蔵した液晶ディスプレイ
(記者撮影)
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左から車両部の林さん、西尾さん、田辺さん
(記者撮影)
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乗務員室後ろの展望座席は
両側が2人がけ座席(記者撮影)
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先頭部は2人がけ座席
(記者撮影)
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運転席後方の座席の眺め
(記者撮影)
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側面の窓も広い
(記者撮影)
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運転席の反対側の前面展望
(記者撮影)
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運転席の反対側の展望座席
(記者撮影)
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3000系の運転席
(記者撮影)
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3000系の運転席
(記者撮影)
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3000系の運転席
(記者撮影)
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運転席の椅子を上げた状態
(記者撮影)
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黒を基調とした運転台
(記者撮影)
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乗務員室の運転席と反対側
(記者撮影)
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「洛楽」運用時は装飾灯を点灯する
(記者撮影)
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前照灯は上部に3つ並ぶ
(記者撮影)
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付け加えた装飾灯と液晶ディスプレイ
(記者撮影)
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装飾灯はまぶしくないように配慮したという
(記者撮影)
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尾灯も孤を描くデザイン
(記者撮影)
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3000系は3ドア車
(記者撮影)
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車体カラーは紺と白に銀帯
(記者撮影)
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新造したプレミアムカー
(記者撮影)
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3000系プレミアムカーのドアは両開き
(記者撮影)
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雨の日もクリアに見える液晶ディスプレイ。
複層ガラスに内蔵されている(記者撮影)
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新造車両ため窓の位置は等間隔
(記者撮影)
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工場で連結を分割した際に先頭となる
中間車のライト(記者撮影)
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工場で連結を分割した際に先頭となる
中間車のライト(記者撮影)
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3000系の従来車両は2008年製
(記者撮影)
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新造のプレミアムカーは2021年製
(記者撮影)
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8000系とともに特急の運用を担う
(記者撮影)
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京阪の広報担当者も「プレミアムカーは直近の平日でも昼間の閑散時をふくめて8割ほどの利用があり、朝晩や休日はほぼ満席になる」と説明。2両化について「京阪間で座席指定車の需要を切り開いてきた当社としては、もう一歩先を行く」と意気込む。中之島線の快速急行用として登場したが、京阪線の利用状況に応じて特急や洛楽の運用を担当、さらにプレミアムカーの連結と増備――活躍の場を拡大してきた3000系の成長はこれからも続く。
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はしむら きしん / Kishin Hashimura
三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。
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