京阪電気鉄道はその社名の通り、京都と大阪の中心地をダイレクトに結ぶ。両市の市役所は京阪本線の両端の駅、三条と淀屋橋からどちらも川にかかる橋を渡ればすぐ。三条から北には鴨東(おうとう)線が延びていて、終点の出町柳で比叡山・鞍馬方面への叡山電車と乗り換えができる。
京都方面への特急の場合は淀屋橋、北浜、天満橋、京橋と大阪のビジネス街の駅でこまめに乗客を拾った後、京阪本線の中間にある枚方市、樟葉に停車。京都府に入り、宇治線を分ける中書島、近鉄京都線との乗換駅である丹波橋を経由する。東海道新幹線をくぐると地下に入って鴨川左岸を七条、祇園四条、三条と北上する。
鴨東線開業を機にデビュー
三条から先のわずか2.3kmの鴨東線は京阪本線と一体で運用されているため、終点の出町柳までとくに路線名の違いを意識して乗車することはない。が、現在の京阪を代表する特急用車両「8000系」にとっては非常に意味のある路線といえる。
「エレガントサルーン」の愛称を持つ8000系は、1989年10月5日の鴨東線開通に伴う増備車両として運行を開始した。現在の側面の車体カラーは窓周りを含めた上部が赤色、窓下の帯には金色、その下は黄色が用いられている。配色は、十二単や紅葉、祝祭、金蒔絵などをイメージしたとされる。
前面に特急を示す鳩のマークを誇らしげに掲げる。同社社内報によると、特急列車標識が鳩型になったのは1952年。「デザインした人物やデザイン画などの詳細な記録は残念ながら残っていないが、“未曾有の悲劇をもたらした第2次大戦後、真の平和を求める世相を背景に公募(懸賞付き)し、選ばれたもので、沿線の石清水八幡宮の神使『ハト』にあやかり、運行の安全を願うとともに平和な日本を象徴している”と伝えられている」という。
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