それでも私は——バッテリーの持ち時間が短く、追加のバッテリーパックが必要になるといった制約はあるにせよ——ビジョン・プロがヒットする可能性を排除できない。
値段は確かに高い。だが、第1世代のガジェットは概して高価なものだ。それに、ビジョン・プロの「プロ」が示しているように、価格を下げた一般消費者向けのモデルがすぐに登場する可能性もある。
アップルウォッチ「失敗」の予言は大外れ
白状しておくと、ビジョン・プロに対して私が偏見を持たないようにしている理由の1つは、テック系コラムニストとして感じている一種の精神的圧力だ。初代アップルウォッチが発売される前の2013年、スマートウォッチなんてアホみたいなアイデアだ、と自信たっぷりに断言するコラムを書いた。
スマートウォッチの見た目をこけにし、あんなのは高価なおもちゃにすぎないと一蹴し、若くてリッチなシリコンバレーのオタクくらいにしか響くとは思えない製品カテゴリーに多額の投資をするアップルはクレイジーだ、と大胆にも宣言したのである(アップルは今や世界ナンバーワンの腕時計ブランドとなり、年間推定4000万本もの腕時計を売っている。私も、友人や親戚の多くも、アップルウォッチを身につけている)。
明らかに、私のアップルウォッチに関する予想は、とんでもなく、滑稽なほどに間違っていたわけだが、それにはいくつかの理由があった。
まず、アップルの市場拡大能力を見くびっていたこと。アップルには、ニッチな製品カテゴリーをメインストリームに変える力がある。2013年当時、スマートウォッチは他社から発売されていたが、いずれも大ヒットには至っていなかった。
そのため、アップルウォッチも大ヒットはしないだろうという結論に達したのだった。私は、それまでのスマートウォッチの分厚くて醜い外観を見て、そのような時計を毎日手首に巻くのを厭わない種類の人々、つまり私のようなオタク層は、重視するほど大きな市場ではないと判断した。