アップルは、新しい製品カテゴリーに最適なタイミングで参入する才覚を持っている。2007年の発売当時、iPhoneは初めてのスマートフォンではなかったし、初めてのタッチ画面式スマートフォンですらなかった。iPadも、初めてのタブレット型デバイスではなかった。
しかしアップルは、いずれのケースにおいても、それまでの製品にはなかった興奮とセックスアピールをもたらした。高くつく失敗は他社に任せ、一段と優れた製品をつくることに注力した結果だ。
市場がアップルの参入を必要としていたのかも
ビジョン・プロでも、同じことが起こるかもしれない。メタやマジックリープなどの企業は、VR/MRヘッドセットの基礎研究と開発に何十億ドルという資金を投じ、グーグルグラスのような先行デバイスの失敗から学んできた。
そうした中でデバイスのコンポーネント(部品)の多くが進化し、現在のヘッドセットは以前より魅力的なものになっている。だが、商業的な大ヒットには至っていない。
その理由は、VRやMRが根本的にいいアイデアではなく、そうしたデバイスの市場は決して大きくならない運命にあるからなのかもしれない。しかし、市場がアップルの参入を必要としていただけの可能性もある。
もし数年後に、あなたがビジョン・プロで、あるいは角膜に直接装着するアップル製デバイスでこの記事を読んでいるとしても、私がその可能性を指摘しなかったとは言わないでほしい。
(執筆:テクノロジーコラムニスト Kevin Roose)
(C)2023 The New York Times
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