近ツー、コロナ不正でもまさかの「最高益」達成 警察が強制捜査に入った日に業績は上振れ着地

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KNT-CTホールディングスは傘下に近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを持つ(記者撮影)

警察が支店の家宅捜索に入ったその日、発表されたのはまさかの上方修正だった。

「当社グループである近畿日本ツーリストの過大請求について、お客様、関係者、ひいては社会の皆様に多大なるご迷惑とご心配をおかけしていることに対して、心より深くお詫び申し上げます」

近畿日本ツーリスト(以下、近ツー)の親会社であるKNT-CTホールディングスの米田昭正社長は6月1日に開催された決算会見の冒頭でこう陳謝した。

同社の子会社である近ツーは、東大阪市など地方自治体から受託した新型コロナウイルスワクチンの関連業務などで報酬を過大請求していた。過大請求額は最大で14.7億円と見積もっており、決算発表日と同日の6月1日には詐欺の疑いで警察の捜査を受けている。

過大請求の影響をものともしない好決算

KNT-CTはもともと5月11日に2022年度(2023年3月期)の決算発表を予定していたが、過大請求問題の発覚を受けて、決算発表を延期していた。だが、この日にようやく発表された同社の決算は、過大請求の影響をものともしない空前の好決算だった。

会見直前に記者に配布された資料の中に、驚くべきものがあった。それが、業績の上方修正である。同社は2023年2月9日に一度、上方修正を発表している。その時点ですでに、売上高2440億円、営業利益80億円、純利益80億円と過去最高の営業利益と純利益を予想していた。

それが6月1日の決算発表では、売上高は2521億円(従来予想比3.3%増)、営業利益は114億円(同42.6%増)、当期純利益は117億円(同47.4%増)と大幅に上振れて着地した。純利益ベースでは、これまでの最高益は2015年度(2015年12月期)の43億円であった。2022年度はその3倍近い利益を生み出したことになる。

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