近ツー、コロナ不正でもまさかの「最高益」達成 警察が強制捜査に入った日に業績は上振れ着地

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縮小

2つ目が、コスト削減の効果だ。同社はコロナ禍に入って、構造改革を進めてきた。希望退職などを募り、2019年度には6968名いたKNT-CTの社員は、2021年度には3711名とほぼ半減。また、個人向け営業所も縮小も進め、2022年度の販管費は431億円と、2019年度の688億円から4割程度削減している。

過大請求問題の発覚にもかかわらず、空前の好業績をあげたKNT-CTだが、今後は過大請求問題の手痛いしっぺ返しを受けることになりそうだ。

2023年度の業績予想は、売上高2482億円(前年同期比1.6%減)、営業利益35億円(同69.3%減)、純利益30億円(同74.6%減)を見込む。純利益は4分の1になる。

決算会見で業績などについて説明をする米田昭正社長。親会社の近鉄グループホールディングスの社長就任が内定していたが、今回の件で立ち消えとなった(記者撮影)

足元では国内旅行、海外旅行とも回復している。減収減益の予想となった理由として大きいのは、自治体などからの受託事業が減少するためだ。「過去3年間は公(地方自治体など)から仕事をさせていただいていたが、2023年度はほぼ見込んでいない」と米田社長は決算会見で述べている。

2024年度以降はさらに業績が厳しくなる

2024年度以降は、さらに業績は厳しくなっていくだろう。なぜなら旅行事業の中でも、とくに収益性が高い修学旅行の売上高が減少していくとみられるからだ。

「今年度の契約が残っている分の修学旅行は履行をするが、来年度以降は指名停止などの影響もあり、厳しくなるとみている」と米田社長は決算会見で打ち明けた。KNT-CTは修学旅行に強みを持っている。2022年4月〜2023年2月の取扱高は481億円と、同社の全ての旅行取扱高の2割を占めている。

修学旅行は、一般的に旅行費用を複数年で積み立てしていく。「かなり前から学校からの予約が入るため、チケットやバスなどを安く抑えることができる。またオプショナルツアーも入るため、採算性は非常に高い」とある大手旅行代理店幹部は指摘する。

別の旅行代理店幹部は、「修学旅行は基本的に同じ旅行代理店が受注し続ける。新規の営業が必要ないため、人件費を安く抑えることができる」と語る。

今後、KNT-CTは自治体からの受託事業と修学旅行という2つの収益柱が大打撃を受けることになる。売上高の減少が予想される中で収益を保つには、さらなる希望退職の募集などコスト削減策が必要になるだろう。過大請求のツケは、高くつくことになる。

星出 遼平 東洋経済 記者

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ほしで・りょうへい / Ryohei Hoshide

ホテル・航空・旅行代理店など観光業界の記者。日用品・化粧品・ドラッグストア・薬局の取材を経て、現担当に。最近の趣味はマラソンと都内ホテルのレストランを巡ること。

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