「人と金に乏しい時代」超進化コンビニが示す勝算 何でも「ジュース感覚」無人店舗ビジネスの終点

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中国に行くたびに、街中で目にする自動棚の種類と数に驚かされます。現地の人に聞いてみると、中には事業者が黙って置いていくこともあるようです。とくに人の往来の多い都心のエリアは、自動棚の事業者による「陣取り合戦」の様相を呈しています。

この自動棚が増えれば増えるほど、顧客とのタッチポイントが増え多くの購買データが収集されていきます。また、自動棚の数が増えるほど規模の経済が働き仕入れコストが低減されていきます。「陣取り合戦」になるのも自然なことなのでしょう。

決済アプリを通して購買データを集約

この自動棚ビジネスを陰で支えているのが、中国のモバイル決済アプリです。とくにアリババグループの「アリペイ」と、テンセントの「WeChat Pay」の2大アプリは、無数のサービスを「ミニアプリ」として束ねるプラットフォーム「スーパーアプリ」と化しています。

アリペイのアプリを開くと、メッセンジャー、SNS、ニュースアプリなどあらゆる「ミニアプリ」のメニューが並んでいます。アリペイが決済プラットフォームの役割を果たしているので、1つひとつのアプリをインストールし、登録する手間がかかりません。

スターバックスならスターバックスのアプリ、ユニクロならユニクロのアプリ、のようにそれぞれのアプリをいちいち開かなくても、アリペイかWeChat Payを開けば、あらゆるサービスアプリに自動的にアクセスできるのです。

このスーパーアプリが、オンライン上のアカウント情報をすべてひとつに統合しています。

さらに自動棚や宅配サービス、飲食店などのオフラインのデータも収集し、オンライン上のアカウントに紐づけています

オフラインでの購買履歴が、オンラインでの購買履歴と勝手に結びつき、ひとつの購買履歴として同じアカウント上で完全に「マージ(融合)」され、一括管理されるのです。

このオフラインとオンラインの境界を取り払った購買データがミニアプリとして入っている各アプリとも共有され送客効果とともにパーソナルな顧客体験を実現します。

このように、オフラインでのタッチポイントを極端に増やしたうえで、アプリを使ってオンラインで購買情報を集約するビジネスモデルが、最先端の無人店舗ビジネスの形なのです。

人もお金も必要ない無人店舗ビジネスは、大きな可能性を秘めているといえるでしょう。

成嶋 祐介 一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事

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なるしま ゆうすけ

一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事。世界の最先端企業1800社とのネットワークを持つ中国テックビジネスのスペシャリスト。中央大学、茨城大学講師などを歴任。

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。株式会社成島代表取締役。2019年から深圳市越境EC協会日本支部の代表理事を務める。

全世界の中小企業を繋げることを目指し、情報テクノロジー、通販分野にて日本と中国の橋渡しを行い、世界規模のグローバルECの開発に向け活動をしている。

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