平和都市・広島を侮辱した会議となったG7サミット 議論すべきは武器供給でなはく停戦だったはずだ

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広島でのG7に合わせるように、ウクライナ最大の要塞基地バフムートでのロシアの勝利が決まった。囲碁に「中押し勝ち」という言葉がある。途中でほぼ勝負が決まったときに、それ以上戦わず敗北を認めることをいう。ロシアは暗にそれを示すために、この日に勝利宣言をしたのかもしれない。

この1年の戦争の実態は、西側の主要メディアの報道とはまったく違った状態だ。ロシアは、ウクライナと直接戦闘すること以上に、武器や弾薬の備蓄の破壊や交通網の破壊、航空管制の破壊、すなわち戦闘能力の破壊を着々と行っている。ウクライナが春の攻勢に転じることができないのは、そこにある。

バフムートの敗北は、その象徴であった。だからこそ、まさに停戦へと進むべきときだったのかもしれないのだ。この敗北にいきり立って最後まで戦うという選択もあるが、それでは多くの兵士や市民の犠牲、多くの都市や自然破壊をもたらしてしまう。

議論すべきだったのは停戦だった

G7が世界を指導する尊敬に値する国々の会議であるならば、停戦の議論を進めることはあったとしても、拡大路線を取るべきではないのだ。そうでないと、この戦争を止めるしかるべき国は世界に見当たらず、永遠に終わることのない戦争に突き進むしかない。 

皮肉なことに、各国のGDPが伸び悩む中で、戦争当事国であるロシアのGDPが伸びた。これは西側の経済制裁がうまく機能していないということだ。もしロシア側に疲弊することがなければ、ウクライナが有利になることはあるまい。

有利になるためには、NATOが支援し続けるしかないのだ。そうなるとNATO諸国の直接参戦もありうる。気をつけないと、第3次世界大戦へと発展する可能性が高いのだ。

その懸念を裏付けるかのように、ロシアのウクライナ国境地域であるベルゴロドへ、ウクライナ側の決死隊の侵入が行われた。すぐに後退したことでこの作戦は終わったが、これはクレムリンへのドローン攻撃と並んで、一瞬ひやりとする無謀な行動であった。

ウクライナによるロシア侵略が本格的に始まれば、それはロシアの反抗を招き、本格的攻撃がウクライナに迫り、それを受けてNATOも参戦せざるをえなくなるからだ。そうなると第3次世界大戦であり、日本も巻き込まれる可能性が高い。

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