「マンガは子供のもの」と思う人が知らない"真実" 大人の鑑賞に耐えうるリアルな作品が増加の訳
気軽に楽しめる娯楽であると同時に、人生におけるさまざまな示唆を与えてくれるマンガ。近年では、大人も楽しめるマンガがますます増えているのだとか。
マンガの世界で起きている変化をマンガ文化の育成・発展をプロデュースする会社レインボーバード代表を務める山内康裕さんに伺いました。
いま、マンガがますます面白い!?
マンガと聞いてイメージするのは、何でしょうか? 子ども向けの娯楽? 暇つぶしに読むもの? いえいえ、近年では、マンガで描かれる世界はよりリアルに、ジャンルも多様になり、大人も満足できるコンテンツへと進化しているのだそう。
マンガ文化の育成・発展をプロデュースする会社レインボーバードの代表を務める山内康裕さんに、マンガにまつわる近年の変化や、マンガの魅力、大人が読む意味などを聞きました。
── 山内さんは、「大好きなマンガに企画支援という形で関わりたい」との思いから、税理士から経営者兼プロデューサーに転身し、現在の活動に専念されています。まず、マンガ文化という観点から、近年のマンガ界で起きている変化を教えてください。
山内康裕さん(以下、山内):大きな変化としては国内で二つ、国外で一つあります。まず、昔は荒唐無稽なものを「マンガっぽい」と言ったように、リアリティがないものをマンガ的とする時代がとても長かったんです。
けれど、2000年以降の邦画に元気がない時期に、『ピンポン』(2002)や『海猿 ウミザル』(2004)など、マンガ原作の邦画がヒットしたのを機に、マンガを実写化する流れが出来上がりました。
その際、実写化にあたって大人の視聴に耐えうるものにする必要があり、ある種のリアリティが求められるようになりました。つまり、マンガとしてのフィクションの良さは消さずに、その中でリアリティを表現するという要素が備わった。それによって、この20年ぐらいで、大人の読者を想定した、大人も楽しめるマンガが非常に増えたのです。