ワグネルがロシア軍にもたらす「新たな頭痛」 傭兵部隊のバフムト撤退でさらなる困難
ロシアによるウクライナ侵攻を支持する人々の多くは、ロシア軍はワグネルを手本にするべきだと考えるようになっている。ロシア軍がお役所体質で動きが遅いという問題に蝕まれているのに対し、ワグネルは厳しい規律が徹底され、意思決定も速いからだ。
プリゴジン氏は繰り返しロシア軍の上層部を批判しているが、ワグネルとロシア軍は互いに依存し合ってもいる。プリゴジン氏はロシア側で最も優秀な突撃部隊の一部を擁しているのに対し、ロシア国防省は圧倒的に多くの武器を備蓄しており、こうした状況にプリゴジン氏は最近いら立ちをあらわにするようになっている。
ロシアの戦況を左右する切り札
ウクライナでワグネルは、ロシアの緊急部隊として激戦地に投入されるケースが時折見られた。ロシアによる侵攻開始から数週間経った頃、ワグネルの戦闘員は、東部の町ポパスナの掌握に貢献。これによりロシアは、ドンバス地方でのさらなる前進が可能となった。
さらにワグネルはバフムトでも凄惨な戦闘を長期にわたって繰り広げ、その間、ロシアの正規軍に追加の兵士の訓練や戦力のテコ入れなど、別の課題に注力できる状況をもたらした。
クズネツ氏は、ワグネルの戦闘員が再度ウクライナに展開されるとすれば、バフムトの周辺地域か、ウクライナの反転攻勢で焦点となる可能性があるウクライナ南部に送られることになるとみる。
ロシア軍の上層部はワグネルに再び頼る事態は避けたいと考えているかもしれないが、クズネツ氏によると、ロシア軍は兵士の数が足りないため、ワグネルがウクライナに再度投入されるシナリオは「避けられない」という。
(執筆:Ivan Nechepurenko記者)
(C)2023 The New York Times
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