「会社で肩身が狭い」50代を乗り越えるための視点 「会社にいさせてもらえるのだから」と黙る人へ

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人事部も悪気はありませんが、セカンドキャリアの提案について“肩たたき”と勘違いされるのではないかという不安があり、切り出せない場合もありますまずは人事部と社員がコミュニケーションをとってほしい。そうしないと進まない問題です」

配偶者と腹を割って話すことを勧めたい

鈴木さんも大桃さんも、雇用の流動性を高めない限り、本質的なセカンドキャリア形成は難しいという意見だ。数年前にサントリーの新浪剛史社長が「45歳定年制」を提言し、波紋を呼んだが、2人とも「45歳を節目と考えること」には賛成だ。45歳ぐらいで次のキャリアを考えると先が見通しやすいという。

では50代はどう考えたらいいのか。今の50代男性の場合、配偶者が働いていない家庭も多く、配偶者が生活を変えることに不安を感じるケースも少なくない。

鈴木さんは「まず配偶者と腹を割って話すことを勧めたいです。思い込みで、『働いていない配偶者に迷惑をかけるのではないか』や『絶対反対される』と切り出しにくい人も多いと思います。セカンドキャリアは本人だけのものではないはずです。一緒に考えてほしい」と話す。

大桃さんは次の2つを勧める。

1つは自分のキャリアを考えること。会社に相談できる組織があれば活用してほしい。2つ目は会社にいながら、プロボノや副業にチャレンジすること。ノーリスクで自分の力を外の世界で試せるからだ

多くのミドルシニアをサポートしてきた大桃さんは「考えているだけでは、自分の世界にとどまったままで、堂々巡りです。まずは紙に書き出してみる、なんらかの活動に参加してみるなど周りの力も上手に使って、一歩を踏み出してほしいです」と言う。

腹を割って家族や周りと話し、大きなリスクをとらない方法で外の世界に踏み出せば、小さくても変化はある。我慢や遠慮をせずに、まずは自分の気持ちを他者に洗いざらい話してみると、これまでとは別の考え方、生き方が見つかるかもしれない。

国分 瑠衣子 ライター

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こくぶん るいこ / Ruiko Kokubun

北海道新聞社、繊維専門紙の記者を経て2019年に独立。社会部、業界紙の経験から経済・法律系メディアで取材、執筆。趣味はおいしい日本酒を探すこと。Twitter:@8kokubun

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