「会社で肩身が狭い」50代を乗り越えるための視点 「会社にいさせてもらえるのだから」と黙る人へ

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定年退職する時に「相談したおかげで不安なく、やりたいことが見つかって退職できます」と言われたこともある。ただ、鈴木さんは本当にサポートしたい人は、まだ相談室に来ていない人の中に多くいると感じている。

「もやっとした気持ちをぶつけてくれるだけでいいんです。何度来てくれてもいい。そこから初めてどんなことができるかを一緒に考えたい」と鈴木さんは言う。

再雇用の説明会 定年間際に行う会社も

人事担当の部署がミドル世代に変に気を遣っていて、もったいないと感じることがあります

中高年のセカンドキャリアを支援するダイアローグフォーエブリワン(東京)の代表、大桃綾子さんはこう話す。

ダイアローグフォーエブリワンの大桃綾子さん(写真:同社提供)

同社は、企業から依頼を受けて中高年向けのセカンドキャリアのセミナー開催や、地方企業とのプロボノ・越境学習の事業を手掛ける。もともと大企業の人事部で働いていた大桃さんは、組織の中で年齢が上がるにつれ活躍の場が限定的になることに歯がゆさを感じていた。現状を変えたいと2020年3月に会社を立ち上げた。

2022年の内閣府の調査によると、副業に関心はあるが副業をしていない人は全体の半数近く。実際に副業している人は1割にとどまる。副業よりハードルを下げて会社の外の世界との接点を増やそうというのが同社の事業だ。

参加者のうち40、50代が9割近くに上る。2021年、高年齢者雇用安定法が改正され、企業は70歳までの就業機会確保が努力義務になった。以降、大桃さんの会社への引き合いは増え、取引企業は前年比で2倍になった。

大桃さんは「今は企業、人材側双方がコミュニケーション不足で、誤解が生じているように見える」と話す。

例えば再雇用制度も、どんなポジションでどんな仕事ができるのか、年収を知ってから会社に残るかどうかを決めたいというのは働く側からすると当然だ。しかし、定年間際になってから再雇用について説明会を行う企業もあり、時間をかけて考える余裕がないこともあるという。

「キャリア自律と言いますが、自律的に判断できるだけの情報を与えられていないこともあります」(大桃さん)。

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