竹野内豊が語る「震災」と「仕事の価値観」の変化 福島第一原子力発電所の事故扱う作品に参加
――自分も震災の時はほとんどの仕事がキャンセルになってしまい、仕事に対する価値観がかなり変わった記憶があるのですが、竹野内さんは何か価値観の変化はありましたか?
人の命の重さですよね。人生についてもより深く考えるようになったというか、本当に何が起こるかわからないなと。今を楽しめればいいということではなく、この先の未来のことですとか、そういうことをより考えたりするようになりました。
そして自分のこういう職業柄、どういうものを残していけばいいのかなど、そういうこともあらためて考えさせられました。
――共演者の方とのコミュニケーションはどうされているんですか?
今回は、このような事実に基づいた題材でしたので、撮影現場は他にはない、独特な緊張感があって、皆さんあまり多くを語らなかったと思います。
プロデューサーの増本(淳)さんをはじめ、役者、監督もみんなが心にうそがないように、気持ちを大切にしていたと思います。
来年は俳優デビュー30周年
――ここで話題は変わりますが、来年が俳優デビュー30周年だと伺いました。少し気が早いかもしれませんが、この30年近い年月を振り返ってみてどうですか?
どうですかね……。でも楽しいことよりも、どちらかと言ったら本当に苦しい瞬間のほうが多かった気がします。もちろんそういった時間の積み重ねが、今の自分を作り上げてきてる気もしますけど。経験を積むことで、変に気負ってしまったり、頭でっかちにならないようになった気がします。
ただ、その経験値というのはすごく大切なことだと思うんですけど、なんだかんだ言っても昔の、何もわかってなかった頃の、自分が感じるままに、自由にやってた頃の自分というのもすごく大事だと思うんですよね。
――苦しい瞬間というのは、若い頃に感じる無力感のようなものですか?
自分の中の目標値が高すぎたんでしょうね。力が入ってしまってかたくなになっていて。なにもそこまで高い理想を掲げなくてもよかったんでしょうけど、こうあるべきだという気持ちを常に追いかけてしまってたような気がします。
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