竹野内豊が語る「震災」と「仕事の価値観」の変化 福島第一原子力発電所の事故扱う作品に参加

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――Netflix作品というと、潤沢な予算で、スケールが大きい撮影現場であるという話をよく聞きますが、実際に参加してみていかがでしたか?

撮影の規模や大きさはもちろんなんですが、今回は特に、世界的にもまれに見る大惨事を題材としているものですから。実際に事故はなぜ起こったのか、その場で一体何が起こっていたのか。福島の現状を知りたくても知る術はなかったと思うんです。

もちろん今でもなお、手つかずの立ち入り禁止区域もありますし。そういった見えない部分をできる限り映像としてお伝えすることで、言語を超えて、世界中のあらゆる人たちの目に触れる作品になる。そこは世界マーケットのNetflixならではのものなのではないのかなと思います。

誰もが忘れてはいけないこと

――東日本大震災から12年以上たって、少しずつ震災の記憶が薄れてきているように思います。その上で本作のような作品が果たす役割は非常に大きいのではないでしょうか?

撮影に入る前に福島第一原発に視察に行ったんですが、本当にまだまだ手付かずの状態が残っているんだなと思いました。

今回この作品に携わり、過ぎ去った過去の景色として当時を振り返るというよりも、誰もが忘れてはいけないことだと強く感じました。本作を最後までご覧いただいて、皆さんの心の中で、あらためて考えるきっかけになったらと思っています。

竹野内豊(撮影:今井康一)

――ところで竹野内さんは、震災の日は何をされていたんですか?

あの時は、撮影はなくてオフだったんですけど、ちょうどプライベートで銀座に向かう用事があって。首都高を降りた直後に1回目の揺れを感じたので減速したら後ろからクラクションを鳴らされ、またすぐに走り始めてからまもなくして2回目の大きな揺れが来て、周囲のビルからどんどん人が外に出てきて、本当に大変なことになったなと思いました。

普段なら、銀座から家まで40分くらいで帰ることができるんですが、あの日は6~7時間くらいかけて帰った記憶があります。全ての交通機関が止まってしまいましたから、皆さんも本当に大変だったと思います。

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