竹野内豊が語る「震災」と「仕事の価値観」の変化 福島第一原子力発電所の事故扱う作品に参加
――若い頃はそうなりがちだという気持ちはよくわかります。
まわりの状況に惑わされて、自分自身の軸からぶれてしまうというか。気づいたときには、何かが違うぞと思って。かえって苦しむ方向にいってしまったと思うんですよね。
たとえば年相応の、その瞬間にしかできない役柄というのはあるじゃないですか。でも若い頃は頭でっかちになってしまって。もっと背伸びをしていた。たとえば恋愛的な物語よりも、もっと社会性の強い作品にあこがれを抱いていたというか。そういう時期ってあるんじゃないかなと思うんです。
でも今思えば、やがてはそんな恋愛ものなんかできなくなるわけですから。需要があるうちは、とことん引き受けてやっていたらいいと思うんですよ。でもそういうところにすごく逆らってきた自分というのもありましたね。
――今振り返ってみると、それはそれでよかった、なのか。それとも、もうちょっと素直に言うこと聞いとけばよかった、なのか。どちらでした?
それはどちらとも言えないですね。言われたことをやって良かったと思えることもあれば、時に頑なになり闘ったことで今の自分があるのかなとも思いますし。
今やれることはやったほうがいい
でももし今、あの時の自分に声をかけるのであれば、「恋愛ものだって、いいじゃん、やれよやれよ」とか「今やれることはやっとけよ」という感じですかね。そのうちやりたくてもできなくなるときが来るんだから。ちゃんとやることさえやっていれば、時が来れば、自然と自分のなりたいようになっていくと思うんです。
――あんまり焦らずに、自分のできることをやっておいたほうがいいということですね。その言葉は、今の若い人たちにも響く感じがします。
若者たちって焦ってるんですかね? きっと若い人たちだって、そういうスキルや能力は十分持っていると思うんですよね。それをちゃんと導いてあげられるだけの環境を、大人たちが作ってないだけの話なんじゃないのかなという気がしますけどね。
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