マクドナルド「平成風CM」にモヤモヤを感じる背景 その一方で復活メニューには期待が高まる
平成時代のカルチャーを専門とする筆者も、今回の“平成バーガー”の新CMを見たときに、違和感を覚えた。
池田エライザのキュートさでカバーできているものの、平成のそれぞれの年でのはやりを1つにごちゃっと混ぜ、むりやり詰め込んだような印象を受けたのだ。
例えば、キャッチフレーズにもある『超ベリーグッド』を省略した“チョベリグ”という言葉は1996年にはやったが、2000年代初めに携帯電話『ツーカー』のCMに出演していた浜崎あゆみのときにはすでに死語になっている。
また、前回の“アジアのジューシー”のPUFFYへのオマージュが雑な印象ならば、今回は「過剰な平成推し」にも感じる。
とはいえ、これはあくまでも1990年代に青春時代を過ごした筆者の意見だ。今回の“平成バーガー”CMについて、マクドナルドは「平成ならではの“時代感”をデフォルメしたユニークな演出のストーリーで、池田さんが披露する“チョベリグ”な笑顔にご注目ください」と言っている。前回の“アジアのジューシー”も「オマージュ」と言っているため、たしかにコンセプトからは外れていない。
また忠実な「再現性」だけが、評価されたり、人々の心を揺さぶるともかぎらない。
たとえば1990年代後半には、1960年代のカルチャーが若者の間で人気を集めた。109で人気があったアパレルブランド『EGOIST』も、1960年代リバイバルのアイテムを販売したが、今思えば1960年代をコンセプトとした商品も、忠実な再現ではなく、かなりデフォルメされた部分があっただろう。それでも若者の心をつかみ、これらの商品がヒットしたのは事実だ。
“平成バーガー”のCMも「架空の平成」と揶揄されてしまう部分もあるが、平成と令和は、昭和に比べると遠い過去の話でもなく、筆者と同様に世代によっては、多少の表現の誤差ですら敏感になってしまうのではないだろうか。
復活メニューは盛り上がる要素も
「平成」をテーマにした広告を、全世代の心に響かせるのには、いまだ手探りのところがあるかもしれない。
ただ復活メニューや「懐かしさ」をキーワードとした商品というのは確かに盛り上がる。ここ最近では、同じくマクドナルドの商品で、2022年の「FIFAワールドカップ」とともに販売された “時をかけるバーガー”が盛り上がったのも記憶に新しい。
歴代の開催地をイメージし、2002年の日韓大会にちなんだ「こく旨かるびマック」、2014年ブラジルの「ワイルドビーフバーガー オニオンリング&チーズ」、2022年カタールの「ケバブ風チキンバーガー」を販売した。
今回のような復活バーガーではないが、俳優の岡田准一が20年の時をさかのぼった、ドラマ仕立てのCMは、その時代ごとの懐かしさで話題になった。
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