客単価4800円「牛角の高級店」はアリかナシか 「成城学園前」駅近でシャトーブリアンを提供
ただしこうした事態は、ある程度予想の範囲内ではあるようだ。同氏に出店意図を聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
「外食が制限されたコロナ禍では、店を選ぶ傾向が強まったと感じている。幅広いニーズに応えていくためのチャレンジとして、成城学園前店を出店した」(同)
もともとレインズインターナショナルは新規事業には積極的な企業で、新業態を立ち上げて、市場可能性を測ることはよくあるそうだ。牛角成城学園前店も試験的な意味合いが強いところから、展開は1店舗のみで大々的な宣伝も行っていない。
「牛角のほうがよい」と思われたら負け
お客にとって牛角との違いがわかりにくいことも、ある意味、「ハードルの高い挑戦」と捉えているフシがある。
「ベンチマークは従来型の牛角。お客様が商品を味わって、『牛角のほうがよい』と思われたら負けだと考えている。そのためコストパフォーマンス、つまり価格に見合った商品の再現性については厳しく検討し、つねに調整を行っている」(同)
例えば、同店での1人前の量を見ると、和牛カルビなら厚切りが7枚並んでおり、ほかの焼肉店に比べても多く感じる。これが同氏の言葉にある「商品の再現性」の一例だ。
とはいえこのように厳密に高コストパフォーマンスを追求しているのに、まだ客に伝わっていない、それ以前に知られていないのがもったいないと感じる。
牛角ブランド全体の話も同社の本部に聞いたところ、今後は、立地やシーンに合わせた店舗展開を一層充実させるそうだ。従来型牛角も564店舗あるとはいえ、立地分析上、出店余地はまだあると見ており、出店を強化していく。
「従来型牛角が郊外ロードサイドにおいては住宅立地を主力としているため、『食べ放題専門店』は中堅都市以上の国道沿いをメインに出店していく」(レインズインターナショナル本部)
フードコード業態の「牛角焼肉食堂」は、1000円以下で気軽に楽しめる焼肉のため、食い合いを意識せず、さまざまな商圏で出店できる。牛角焼肉食堂はファミリー層に人気が高く、施設からの引き合いも多い業態だそうだ。
コロナによる打撃に加え、物価高で消費者の財布のひももかたくなっている。こうした中で集客を確保していくために重視するのが「高品質な焼肉をリーズナブルな価格で提供すること」。
そのポイントとなってくるのがやはり仕入れや肉の加工だという。まさに、牛角成城学園前店で重視している要素だ。
全体の戦略から今回の牛角成城学園前店を見ると、この店舗としての成功というよりは、手法の模索を重視しているようにも見える。つまり企業として出せる最高のパフォーマンスで、経営がうまくいく路線を見極めようとしているのではないだろうか。
ただ正直なところ、現在の同店の状況からでは大繁盛の未来をなかなか想像しにくいのが事実。今後姿を変えていくことも十分に考えられ、また店としても悪くないところから、一度試しに利用してみるのもよいのではないかと感じた。
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