「AI時代に消える職業」"生き残る人"がしている事 たとえAIに代替されても、思考法1つで変わる

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前出の表にある経理事務員や、一般事務員をはじめ、臨床検査技師や、弁護士の助手、金融機関のコンサルタントや会計士など、高度な知識や学歴が必要とされる職種でさえ、ルーティンワークの部分も多くあり、それがAIで代替されるようになれば、その存在価値は非常に危うくなっていくというのです。

生き残るために必要なのは「AIを使いこなすスキル」

一般事務の仕事をしている人はどんな仮説を立てるべきでしょうか。ヒントとして、先日、北九州に招かれた講演会の話をしようかと思います。学校事務をしている方々の総会だったのですが、当然、AIへの不安の声も多く聞かれました。

私の仮説はシンプルです。まず、事務の仕事において、人間がゼロになることはないでしょう。なぜなら、AIがやった仕事を「監査」する人間はいつになっても必要だからです。

また、学校事務の場合は、各校に1人くらいしか専任の人がいないので、そもそも数が多くありません。となると、現在、学校事務をやっている人が生き残るために必要なのは、AIを使いこなすスキルだけ、という結論になります。

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学校ではなく会社ではどうでしょう。事務員が多い職場も、実は、すでに自動化の波が押し寄せており、かなり人数が減っているはずです。ですから、AIの扱い方をマスターできれば、今のままの職場で仕事を続けられる可能性はあるでしょう。

ただ、いまのルーティーンワークがあまり好きでなかったり、苦になっているのであれば、思い切って、リスキリングにエネルギーを振り向ける方策もあるかと思います。

どの職種においても、パターン化されたことばかりやっているとAIに仕事を奪われるものの、人間としての付加価値が重要であれば、人間がやり続ける……そんな未来が見えてきたのではないでしょうか。

竹内 薫 理学博士/サイエンス作家

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たけうち かおる / Kaoru Takeuchi

理学博士。サイエンス作家。YES International School 校長。1960 年東京生まれ。東京大学教養学部、理学部卒業、マギル大学大学院博士課程修了。科学ジャンルで発信を続け、小説、エッセイ、翻訳などを中心に200 冊あまりの著作物を発刊。主な著書に『99.9%は仮説~思い込みで判断しないための考え方』(光文社新書)、『教養バカ 〜わかりやすく説明できる人だけが生き残る』 (SB 新書)、『素数はなぜ人を惹きつけるのか』 ( 朝日新書) など多数。訳書に『WHAT IS LIFE ? 生命とは何か』(ダイヤモンド社)、『超圧縮 地球生物全史』(ダイヤモンド社)がある。

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