"猫"のために「リノベ」したお家ビフォーアフター 人にとっても猫にとっても快適な空間を実現

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同じように、玄関から脱走してしまい、交通事故や感染などの危険を避けるために、リビングと玄関の間に鍵付きの格子状の造作扉を取り付けた。

なお、こちらの事例もキャットウォークとステップを付けた。LD上部のキャットウォークの通路と隣室の間の壁は、あえて透明ガラスの窓を入れ、猫は隣室の様子もガラス越しに見ることができるようになっている。

キャットウォークとステップ(写真:リノベる)

肉球や猫のカワイイ姿を飼い主だって見たい!

猫は1日12~16時間も寝るのだそうだ。猫を偏愛する飼い主なら、そんな猫の姿をたっぷり見たいもの。最近人気なのは、キャットウォークをガラスで作って、猫の歩く姿を下から見られるようにしたもの。

とくに、肉球がはっきり見えるので、飼い主のハートはわしづかみされる。前田さんによると、アクリル板だと傷がつくので強化ガラスのほうがおすすめだそうだ。

そして、もう1つが猫ボウル。キャットウォークに猫ボウルを組み合わせた猫リノベを紹介しよう。猫は丸いものが大好きなので、ここにすっぽり入る姿を下から見ることができる。ただし、猫が入ったときに落下しないよう、ボウルをはめる集成材に高い加工精度が必要だったりと、安全性を考慮して制作する必要があったという。

キャットウォークに猫ボウルを取り付けた事例(写真:リノベる)
猫ボウルは2つある。この事例でも、キャットウォークと隣接する部屋の壁は透明ガラスの窓にしている(写真:リノベる)

猫リノベにどんなデメリットがある?

近年の猫人気の高まりを受けて、建具や部材、商品などで猫仕様のものが増えている。爪とぎをして壁などを傷つけたり、臭いがしたりといったことについては、消臭機能のある壁紙・床材や引っかきキズに強いスーパー耐久性タイプの壁紙などもある。こうしたものを採り入れれば、デメリットと思われることは軽減できる。

なので、猫リノベをしてデメリットになるのは、「売るときではないか」と前田さん。猫仕様になっているので、買い手が猫好きであれば取引がスムーズに進むだろうが、猫を飼わない人の場合に売りづらくなる可能性がある。

こうしたことを考慮して、猫用ステップを本棚として使えるように配置したり、マグネット式の着脱できる棚にしたりといった事例もあるという。また、家具会社も猫仕様のものを増やしているので、造り付けでなくキャットタワーのような家具を設置するといった方法もあるだろう。

猫は家族同様の時代。猫が快適に暮らす様子を見れば、飼い主もうれしいはず。今後も猫リノベは、ますます増えるのではないか。とはいえ、家の広さやリノベーションの費用に限りはあるので、人の快適さと猫の快適さのバランスをどう取るかが、猫リノベの成功のカギになる。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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