小野寺元防衛相、G7広島サミットは「歴史的」 橋下氏は「核抑止力が必要とはっきりした」
宮家邦彦氏(元外交官):隔世の感がある。私が外務省に入ったのは1978年。翌年に一回目の東京サミットがあった。サミットを40年ぐらい見ていることになるが、今回ほどてんこ盛りの、これだけ歴史的な意味のあるサミットはちょっと思いつかない。普通、サミットというのは7人集まって、シャンシャンとは言わないが、比較的予想の範囲内でものごとが動くものだ。しかし、今回、様々な要素が絡まったせいもあるが、日米韓があり、クアッドが入り、さらにゼレンスキー大統領がやってきてグローバルサウスのインドと対面で対話をする。
当然時間はかかるが、いま世界が置かれている状況で、必要なものがこの広島から生まれていく。こういうサミットを見たのは初めてで非常に重要だ。(ウクライナへの)F-16戦闘機供与等々の流れがあるが、もちろんこれも時間がかかる。(パイロットの)訓練が始まっても数か月はかかる。しかし、この戦争がまだまだ続くことを考えると、おそらく将来振り返ってみた時に広島サミットは歴史的な分岐点になるぐらい重要な会議になるのではないか。
「核の傘」連携は…日米韓首脳会談の行方
橋下氏:G7サミットで岸田総理は「核なき世界」を目指すと。被爆地・広島出身の政治家だから、「核なき世界を」というメッセージを伝えたいとの思いはわかる。これは理想だ。世界各国が一斉に核兵器を放棄するのであれば、「核なき世界を」ということになると思うが、一方的に放棄することほど危ないことはない。だから今回の広島ビジョンでも、核兵器の抑止力の意味合いを認めている。原爆資料館を見たG7首脳は即時、核兵器の放棄とは誰も言わない。将来的な核兵器なき世界をということを言っているだけで即時放棄を言わない。
すなわち、今のこの現実の国際情勢を見れば、今回のG7サミットのもう一つ大きな意義は「核抑止力は必要」ということ。日本も核兵器を持てるかというと、これは現実持てないと思う。持てない以上は、韓国と同じように米国の核に頼る必要がある。1970年、1980年に教育を受けてきた僕らの世代は、核兵器なんかとんでもない、核兵器なんかすぐ廃絶せよ、という教育を受けてきた。
しかし、今回のG7サミットではっきりしたのは現実、ロシアも中国も核兵器を持ってる以上は、やはり核兵器の抑止力は必要なのだということ。これはもう全国民が認識をしなければいけない。そういうサミットになったと思う。(米韓同様に)日米間でも核についてしっかりと協議して、日本の立場も発言できる、また、運用のあり方についても透明化を図る。核という物が必要だという前提での政治をやってもらいたい。