土佐市「移住者カフェ」ここまで大炎上した真因 「前時代的な価値観」への反発が加速している
こうした経験があるからこそ、SNSの「拡散性」を理解していない人も多いだろうと想像できる。いまや老若男女を問わず、スマホ片手にゲームやネットショッピングを楽しめる時代だが、その価値や便利さ、怖さに気づいていない人々も、まだたくさんいるのだ。
10年で大きな変化を遂げた、ニュースが扱うネタ
他方で、ニュースの「作り方」や「送り方」は、ここ10年程度で大きな変化を遂げている。ネットで話題になった出来事を、新聞をはじめとする伝統的なメディアも熱心に取り上げるようになったのだ。
筆者はネットニュース編集者として約10年にわたって活動してきたが、関わり始めた2010年代の前半はまだネットメディアも少なく、新聞やテレビ局と、自分たちネットメディアの扱うネタには、どこか硬軟の差があった。
しかし、気づけばネットで話題の出来事や、SNSでバズったツイートをもとに、ニュースを作るようになった。直近でも、SNSで拡散した「迷惑客」の動画がテレビで流れていたのは記憶に新しいだろう。加えて「ネタ元」としてネットを使うだけでなく、自社でウェブメディアを持ち、そこからの発信も当たり前となった。
このような要因が重なった結果、SNSが持つ力は、ネットを使い慣れない人々には想像できないほど強くなっているわけだが、連動して強まっているのが「前時代的な価値観への反発」である。
香川県で2020年に施行された「ネット・ゲーム依存症対策条例」をめぐる一連の騒動も、同じ要因だろう。この条例は、県内に住む18歳未満の子供をネット・ゲーム依存症から「守る」目的で、全国で初めて定められた。ゲームの使用時間や時間帯の制限が織り込まれたが、科学的な根拠や成立過程なども含めて疑問視された。
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