「PBR1倍割れ」でも稼げる企業を探す簡単な方法 日本企業が厳しい国際競争で生き残っていくには
3月に公表された東証からのお願いを参照して、さらに掘り下げて説明しましょう。東証からは、「(前略)ROE8%未満、PBR1倍割れと、資本収益性や成長性といった観点で課題がある(後略)」企業との指摘があります。
ここで、資本収益性と成長性という2つのキーワードもでてきましたが、これらは「企業価値を高めるための経営・財務戦略」にとっての課題となるものです。そして、資本収益性と成長性を数値で示す尺度がROE(アールオーイー)とPBR(ピービーアール)になります。それぞれ8%、1倍というのが、条件として指摘されました。
ROE8%とはどういう基準を意味するのか
1つ目の資本収益性の尺度が、ROE(株主資本利益率=純利益 ÷ 自己資本)です。ROEは、企業が1年間で稼ぐ利益の金額を株主資本の金額で割ったもので、株主が払い込んだ分のお金(自己資本)に対する見返りとして、会社がどれだけ利益(収益)を稼いでくれるかを見るものです。
企業は投資家からお金を集めて、経営活動を行い、そこから利益を得ています。投資家の中には「少しでも利益を出していれば、それでよい」と考える人もいるかもしれません。その場合、プラスがROEの最低条件となります。
しかし、事業がうまくいくとは限りません。例えば、コロナ禍の時期には、お客さんが集まってこないため、利益が出なくなった(赤字の)企業も少なくありませんでした。このように事業がうまくいくかどうかわからないという“不確かさ”が「リスク」と呼ばれます。
リスクがあるのにROEがプラス見込みという程度で、投資家からお金を集めることができるのでしょうか。最低でもリスクに見合う程度のROEを稼いでほしいと考えるのが、投資家の人情でしょう。わが国の企業は、ROEの基準が8%を目安とされています。これが東証からのお願いで“ROE8%未満”の企業は課題があると指摘された背景です。
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