東証プライム市場「断念予備軍」200社ランキング 流通株式時価総額「100億円」の高いハードル

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東証のビル
ふるいにかけられる企業がじわり増えている(撮影:梅谷秀司)

2022年4月に東証プライム市場が発足して1年。プライムからスタンダード市場への「降格」を表明する企業がじわり増えている。

2022年末時点で、時価総額や流動性といったプライム市場の上場維持基準を満たさない企業は269社存在する。こうした企業がプライム市場に上場することに対して、これまで東証は改善策の策定を条件に容認してきた。

だが2023年1月に上場維持基準を改正し、3月期決算企業であれば2026年3月までに上場維持基準に適応しない企業は「監理銘柄」に指定され、早ければ同年9月にも上場廃止となることが決まった。その代わり、2023年4月から9月までにプライム市場への上場を断念した企業に対しては、審査なしでスタンダード市場に移れる「特例」も用意した(詳しくはこちら)。

すでに改善が難しいと判断し、スタンダード市場への移行を表明した企業は4月末時点で9社ある。今後、この特例を利用して、スタンダード市場への降格ラッシュが起きる公算だ。

残留に懸けるか、身の丈に合った選択か

では、どんな企業がスタンダード市場に移る可能性が高いのだろうか。現在、上場維持基準を満たしていない企業にとって鬼門となっているのは「流通株式時価総額」だ。

役員が保有する株式や自己株式といった流動性に乏しい株式を除外して算出する時価総額で、100億円以上を保つことが要件となっている。時価総額で100億円を超えている企業でも、特定の大株主が株式の大半を占めている場合、流通株式時価総額の数値は著しく縮小する。

そこで、東洋経済は『会社四季報』や大株主データ、『役員四季報』などの独自調査を基に流通株式時価総額を試算し、プライム市場に上場する企業で流通株式時価総額が100億円未満の企業計203社を抽出した。

ランキング上位の流通株式時価総額は100億円にほど遠く、抜本的な改善策が急務だ。また、プライム市場発足後に株価が下落し、100億円を割ってしまった企業も散見される。これらの企業は、プライム市場「断念」予備軍と言える。企業価値を磨いてプライム残留に懸けるか、身の丈に合ったスタンダード市場を選ぶか、投資家への説明も求められるだろう。

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