このように質問を繰り返していくと、相手が具体的に自分の状況や、それに対する考えや感情について話してくれるようになるので、相手の気持ちがより具体的に理解できるような感覚が出てきます。
そうすると表面的ではなく、心から「それはつらいですね」という言葉をかけられます。
そして、相手は「ああ、この人は自分の気持ちをわかってくれた」という感覚になる可能性が高まるのです。これはカウンセリングの基本ですが、「自分の気持ちをわかってくれた」という感覚が出てくると、その人の気持ちは少し楽になります。
筆者は長年、この仕事で経験を積み、傾聴について学んできましたが、それでも「先生には私の気持ちはわからない」と言われることがあります。相性もあるのでしょうが、やはり必ずしも人の気持ちを理解できるとは限りません。
ですので、筆者は「相手の気持ちを理解すること」ではなく、「自分が相手の気持ちを理解する姿勢を持ち続けること」を目標としています。これは努力次第で達成できますし、相手も「この人には伝わらないけど、一生懸命理解しようとはしてくれている」というふうに感じてくれるかもしれません。
本音を話してくれているか?
もう1つ重要なことがあります。困っている人が必ずしも自分の気持ちを打ち明けたいとは思っていないことです。
弱音を吐くのが苦手な人に無理に話を聴こうとするのは余計なおせっかいですし、そもそも気持ちを話す準備ができていないこともあります。
相手の気持ちを想像しながら、「今はそっとしておいたほうがよさそうだな」と配慮するのも、人を傷つけないための大切な気配りだと思います。
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