「相手に共感」は実は専門家でもなかなかできない 大事なのは気持ちに寄り添うことではない?

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このように質問を繰り返していくと、相手が具体的に自分の状況や、それに対する考えや感情について話してくれるようになるので、相手の気持ちがより具体的に理解できるような感覚が出てきます。

そうすると表面的ではなく、心から「それはつらいですね」という言葉をかけられます。

そして、相手は「ああ、この人は自分の気持ちをわかってくれた」という感覚になる可能性が高まるのです。これはカウンセリングの基本ですが、「自分の気持ちをわかってくれた」という感覚が出てくると、その人の気持ちは少し楽になります。

筆者は長年、この仕事で経験を積み、傾聴について学んできましたが、それでも「先生には私の気持ちはわからない」と言われることがあります。相性もあるのでしょうが、やはり必ずしも人の気持ちを理解できるとは限りません。

ですので、筆者は「相手の気持ちを理解すること」ではなく、「自分が相手の気持ちを理解する姿勢を持ち続けること」を目標としています。これは努力次第で達成できますし、相手も「この人には伝わらないけど、一生懸命理解しようとはしてくれている」というふうに感じてくれるかもしれません。

本音を話してくれているか?

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もう1つ重要なことがあります。困っている人が必ずしも自分の気持ちを打ち明けたいとは思っていないことです。

弱音を吐くのが苦手な人に無理に話を聴こうとするのは余計なおせっかいですし、そもそも気持ちを話す準備ができていないこともあります。

相手の気持ちを想像しながら、「今はそっとしておいたほうがよさそうだな」と配慮するのも、人を傷つけないための大切な気配りだと思います。

清水 研 精神科医、医学博士

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しみず けん / Ken Shimizu

がん研有明病院腫瘍精神科部長、精神科医、医学博士

1971年生まれ。金沢大学卒業後、内科研修、一般精神科研修を経て、2003年より国立がんセンター東病院精神腫瘍科レジデント。以降一貫してがん医療に携わり、対話した患者・家族は4000人を超える。2020年より現職。日本総合病院精神医学会専門医・指導医。日本精神神経学会専門医・指導医。著書に「もしも一年後、この世にいないとしたら(文響社)」、「がんで不安なあなたに読んでほしい(ビジネス社)」など。

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