それでも、不安が拭えずに近所にある別の病院で検査を受けたところ、緊急で精密検査を受けるように指示される。紹介状を書いてもらった大病院での検査を経て、月末には大腸がんであることが判明した。
このとき、がんであること以外に大きな懸念が2つあったと述懐している。1つは夫のうつ病に悪影響を及ぼしてしまうこと。もう1つは入院に際して同居家族以外の身元保証人が必要になることだ。虐待の過去から両親には会いたくないし、現状を知られたくもない。
冒頭に引用した通り、幸い夫の姉が保証人を引き受けてくれた。看護師として働く友人も知識と経験の両面から支えてくれて、Twitterを通して届く友人知人からの支援も間違いなく力になったという。後にこう振り返る。
過去を整理して10話を描き上げる
翌月に開腹手術を受けると原発がんとともに腹膜に散ったがんも見つかり、目に見えるものは原発とともにすべて取り除かれた。他の臓器にがんが転移している状態、すなわちステージIVだった。
働き盛りの38歳。毎年人間ドックを受け、自宅にこもる仕事であることを自覚して習慣的に運動もしていた。少し前から急に小食になったと感じていたが、取り立てて体調の悪化を感じることもなかった。それでも気づいたときには末期といえる状態になっていたことにショックを受ける。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら