誰が乗る?タイに渡った元JR北「キハ183」ツアー 参加者はほぼ地元客、まるで「昭和の団体旅行」
博物館を後にし、昼食会場へ。朝に記念撮影をしたバンパコン川の橋梁のほとりにあるトレインビューレストランである。見ず知らずの数グループが一つのテーブルを囲み、取り分けスタイルでタイ料理に舌鼓を打つ。この場で、ほかの参加者たちにツアーに参加した理由や感想を聞いてみた。やはりほとんどの人が多少なりとも割高感を感じており、チャチュンサオという目的地についても何ら特別感は抱いていないようだが、とにかく「キハ」に乗ってみたかったという声が圧倒的だった。それほどまでに「キハ」という言葉がバンコクの人々に浸透し、一種のブームになっているのは驚きである。
昼食後は、近隣のレトロ感漂う百年市場(新屋市場)での買い物タイムを経て、本日2か所目の寺院、龍福寺へ。こちらはその名の通り中国式の寺院で、バンコク―チャチュンサオ間の鉄道開業時に建立されたという、鉄道とも深い関わりのある寺である。その後は水上マーケットを経てバンパコン川のクルージングだ。およそ30分の船旅を経て、高さ40mにもなる巨大なガネーシャ像に出迎えられ、クライマックスとなるクローンクアン・ガネーシャ公園に到着した。ここから再びバスに乗り換え、チャチュンサオ駅へ。あとは、再びキハ183に揺られ、バンコクに戻るだけだ。
今後のツアーはどうなる?
こうしてみると、このチャチュンサオツアーの正体は、巡礼と買い物を中心とした、王道とも言える団体旅行であった。それを日本製気動車特急で往復するのだから、日本人にしてみれば、パッケージ丸ごとが昭和のレトロ旅である。とは言え、メインターゲットはタイ人観光客だ。
危惧されるのは、キハ183に乗ることを目的とした人々が、二度、三度と乗ってくれるかどうかだ。一過性の話題に終わってしまうということも大いにありうるだろう。
タイ国鉄は5月以降の運行計画も発表しており、いよいよ待望とも言える泰緬鉄道区間、カンチャナブリまで乗り入れるツアーも設定される。観光の内容もラフティングやマングローブの植林活動、バナナプランテーションの見学に農業体験など、テーマ性を持ったよりアクティブな内容に刷新されている。さすがはツアー催行を旅行会社に委託しているだけのことはあり、今後のアイディアは豊富に持ち合わせているものと思われる。
リピーター、そして若者世代も引き付けられるような魅力的なツアーが設定され、末永くキハ183が運行されることと同時に、キハ183の存在がタイ国鉄の収益改善に少しでも役立ってくれることを願ってやまない。
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