放射線は人体にどう影響するか、放射線による健康被害とは何か

「現段階では、福島を含め一般市民の健康への影響はゼロといっていい」。東京大学医学部付属病院放射線科の中川恵一准教授はこう言い切る。

環境放射線量の推移 福島原発が事故を起こして以来、関東・東北地方で、空気中の放射線(環境放射線)レベルの高い状態が続いている(右図)。福島、茨城のみならず、東京でも3月15日の10時台には、毎時0・809マイクロシーベルトという数値(最大値)を観測。「通常の20倍以上もの環境放射線量」と報道され、多くの人々が不安感を覚えた。

これだけ見れば、確かに数値は高い。が、こう考えてみるとどうだろう。ありえないことだが、毎時0・809を観測したエリアで、屋外に24時間立っていたとして受ける環境放射線量は1日19・4マイクロシーベルト。年間では7086マイクロシーベルトとなるが、これはCTスキャンを1回行った際に受ける放射線量とほぼ同等だ。福島原発から北に約20キロメートルの南相馬市では、18日18時に7・29マイクロシーベルトという数値を観測したが、その水準が続いているわけではない。

「被曝は普段から全員している。山に登っても被曝量は増える。細かい数値を気にしても意味がない」(中川准教授)。人間は、地球上で生活しているかぎり、宇宙や大地から発せられる放射線を避けられない。こうした自然から受ける放射線は、世界平均で年間2400マイクロシーベルト。その4倍くらいの数値を観測する地域も多くあるが、その地域の住民に健康被害が出ているという報告はない。

では、健康に影響を及ぼす放射線量とはどのくらいなのか。それを考えるために、放射線や放射性物質が、なぜ私たちの体に影響を及ぼすのかということから理解しておきたい。

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