中国は恒常的な実験と改善を好むので、AIIBから何らかの教訓を引き出し、発展途上国向け融資すべてにそれらを適用することさえ期待できるかもしれない。既存の開発銀行が何かを学ぶということもありうるのではないか。
真の問題は、アジア新興国がどのような援助を必要としているかだ。資金不足よりも、貧弱な組織やお粗末な統治が成長の大きな障害になることが多い。コストはつねに初期の見通しを大きく上回り、プロジェクト立案者は保守・修理を確実に行うのに必要な技術や資金を悲惨なほど過小に見積もることが多い。
中国モデルが他国に通用するかは不透明
開発支援は、最終的に返済が必要な融資でなく、無償資金協力の形を取ったほうがより効果的だとの主張も可能だ。支援額の数値のインパクトは弱まるかもしれないが、長期的には成果が上がる。
残念ながら、インフラ開発に関する中国モデルが他国に一律に適用できるかどうかはまったく明らかでない。中国の強力な中央政府は、新しい道路や橋やダムによって強制退去させられた人々の抗議をはねのけ、長年、環境問題や労働者の権利を無視してきた。旧ソビエト連邦との類似は驚くほどだ。
アジアの発展途上国には、国家の運営方法が異なる国がある。インドでは、ムンバイの空港再建に8年を要した。裁判所が政府に対し、空港周辺の不法占拠者の権利を尊重するよう命じたからだ。
西側主導のインフラ投資銀行の融資やプロジェクトで問題となったものを振り返れば、既存の金融機関を改革するのでなく新たにもう1行設立することが必要なのか、と問うのは妥当だ。が、もしAIIBが、自らを知識の銀行と位置づければ、真の付加価値をもたらす可能性がある。AIIBがどれだけの資金を提供するかだけではなく、どのようにプロジェクトを選択し育成するかによって、同行を評価するべきだ。
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