まずは試乗した4WDモデルの4MATICのフロントアクスルにディスコネクトユニット(DCU)が追加された。必要のない時に前輪に駆動力を伝達しないだけでなく、まさにその名の通り、クラッチを切りフロントアクスルを完全に切り離すのが、その役割。これで電費は、それなしのものに比較して約6%改善されるという。
そして、もうひとつがヒートポンプユニットの採用だ。インバーター、バッテリーの発生する熱を室内の暖房に利用することで、こちらは約10%の電費向上に繋げる。BEVはとにかく暖房が苦手で、冬場には航続距離が大幅に低下してしまう。ヒートポンプユニットの採用は、単純に効率性にだけでなく、季節を問わず安心できる使い勝手にも貢献しているはずだ。
この2点は、いずれもEVA2プラットフォームを用いるモデルでは初採用。今後、マイナーチェンジなどのタイミングで他車種にも設定されていくことになるという。
Aクラスハッチバック並みの空気抵抗係数
エアロダイナミクスにも触れないわけにはいかない。EQE SUVの車体サイズは全長4863mm×全幅1940mm×全高1685mmで、同等のクラスにある内燃エンジン車であるメルセデス・ベンツ「GLE」に対して全方位に少しずつコンパクト。しかも、車体の前後を左右にギュッと絞り込んだスリークなフォルムをまとう。
それだけでも、いかにも空気抵抗は少なそうなのだが、EQE SUVはそれに加えて床下の多くの部分をパネルで覆ってフラット化しているほか、何とサプライヤーの協力によりタイヤのサイドウォール形状まで空力に最適化し、ホイールとの段差も減らしている。このように細部に至るまで徹底した空力処理を行い、結果として空気抵抗係数を表すCd値は0.25という数値を実現している。
Cd値0.25は実は現行「Aクラスハッチバック」と並ぶ数値だといえば、そのスゴさが伝わるだろうか。よりコンパクトで、背の低いAクラスと同等の空気抵抗の小ささを、このミディアムサイズのSUVで実現してみせたのだ。
ちなみにドアミラーひとつ取っても、やはり空力を重視したデザインとされていて、気流の流れをコントロールすることで、雨天時でもサイドウインドウに雨滴が付かないようになっているのだという。その効果については残念ながら試す機会はなかったが、メルセデス・ベンツの空力に関する知見の深さをまざまざと見せつけられた印象である。
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